【 2006/12 】
トランス脂肪酸、米ニューヨーク飲食店で摂取食制限命令
12月に入って、米国ニューヨーク市保健委員会が、市内の飲食店にマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸を1食あたり0.5g未満にするよう、罰則規定を定めたことが報じられた。
なぜ、トランス脂肪酸が毛嫌いされるのか---。
脂肪の摂取過多で、肥満・心臓病大国と称される米国。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、アメリカの総人口の約25%が心臓病患者で、全死因の40%を占め、死因の第1位という。
深刻なのは、近年若年層の間で心臓病による突然死が増えていることだ。早急な対策が必要で、遂にニューヨーク市もトランス脂肪酸の摂食制限を声高に叫んだ。
健康への影響は脂肪の摂取量より、質が問題といわれる。心臓病のリスクを低下させるためには、「摂取する総脂肪量の減少より、脂肪中のトランス脂肪と飽和脂肪を減らす」ことが重要であると、ここ数年論議されてきた。ちなみに、トランス脂肪は、「悪玉コレステロール」といわれる低密度リポタンパク(LDL)を増加させ、「善玉コレステロール」の高密度リポタンパク(HDL)を減少させる。また、飽和脂肪は、「悪玉(LDL)」と「善玉(HDL)」の両方を増加させる。
対して、一価不飽和脂肪は、「善玉(HDL)」を高め、「悪玉(LDL)」を低下させる。また、多価不飽和脂肪は、「善玉(HDL)」は変化しないが、「悪玉(LDL)」を低下させる。
トランス脂肪を含まないものは、ひまわり油、オリーブオイル、コーンオイル、大豆油など。
8万82人の看護婦を対象にした、14年間にわたる食生活調査「Nurses' Health Study」によると、看護婦らは、毎日の摂取カロリーの2%をトランス脂肪から、16%を飽和脂肪から摂っていた。これを、トランス脂肪から摂るカロリーの2%を不飽和脂肪に代えたところ心臓病の危険性が53%低下したという。また、飽和脂肪から摂るカロリーの5%を不飽和脂肪に代えたところ、危険性が42%低下したという(97年New England Journal誌)。
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