【 2007/1 】
骨形成の促進に欠かせないビタミンD、各種疾患の対応素材として研究進む
狂牛病や鳥インフルエンザなどの影響からか、肉の摂食に懸念を抱く人々が増え、魚食への関心が世界的に高まっている。魚に多く含まれるDHAやEPAといったω-3系脂肪酸には心疾患やアルツハイマー、眼疾患などの有用性が報告されている。長寿食として知られる和食や地中海食でも魚介類は欠かせない素材だ。
日本人は魚の中でも、とくに寿司や刺身でマグロを好むが、世界のマグロの4分の1を消費するとされ、漁獲枠の削減が求められている。
マグロはDHAを多く含むが、他にも注目されているのがビタミンD。Dは脂溶性ビタミンで、日光を浴びると体内でも作られるが、近年、このビタミンの有用性に関心が集まっている。Dは他のビタミンやミネラルと共に骨の形成を促し、不足すると骨が壊れやすくなる。子どものくる病や成人の骨軟化症を予防したり、カルシウムの吸収を助け、骨粗粗しょう症予防に重要な役割を果すことが報告されている。
乳幼児の時にビタミンDを補給すると、その後、骨のミネラル密度が増加するということも報告されている(The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌'00/12月号)。スイスの研究グループが、誕生後1年の間にビタミンD補給を受けた7歳から9歳までの女子91人を調べたもので、補給を受けなかった女子15人に比べ、補給を受けた女子の身体の5部位でミネラル密度が高いことが分かったという。
また、糖尿病との関連でも、ビタミンDを食事に補給するとI型糖尿病の危険性が低下することが確認されている(Lancet誌'01/11月3日号)。
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