先頃、American Association for Cancer Research学会で食物繊維を多く摂取すると
エストロゲン値が低下し、ひいては乳がんの危険性を下げるということが発表された。
南カリフォルニア大学、ハワイ大学などの研究グループによるもので、Multiethnic Cohort Study
に参加しているメキシコ系アメリカ人女性250人(他の民族に比べ、食物繊維の摂取量が多いと考えられる)を対象に調査したところ、同グループ
の乳がん罹患率は、食物繊維の摂取量が少ない白人女性グループと比べて20%低いことが分かったという。
食物繊維については、近年がんをはじめとする各種疾患の予防に役立つとされ、その有用性がクローズップ
されている。International Journal of Cancer誌'01/2月号によると、イタリアの研究グループが、口やのど、食道のがんで入院した患者1,000人およびそれ以外のがん患者2,000人を調べたところ、果物や野菜、シリアル、未精白穀類など食物繊維の豊富な食品を多く摂るグループは摂取量の低いグループに比べ、がんの危険性が半分だったという報告もある。
食物繊維を豊富に含むものとしては未精製穀類や野菜・果物が挙げられるが、
米国では90年代に入って、がん克服に向け、米国立がん研を中心に、健康・医療の公共機関が協力し、健康維持のために野菜・果物の摂取増を目指す食生活改善運動「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」を展開。「低脂肪・高食物繊維食」を食習慣に定着させることを目標に、野菜や果物を1日に5皿分以上摂ることを目指した。
こうした運動が功を奏し、1994年は1人1日当たりの野菜・果物の摂取量が3.8皿であったが、1994年には4.4皿へと確実に増えていった。
「5 A DAY」運動では、脂肪の過剰摂取を控え、穀物や食物繊維の多いシリアル(フレーク)食品を多く摂ることが推奨された。そのため、米国では90年代に入った頃から野菜の消費量が急速に伸び、ここ4-5年ほどの間に遂に日本の野菜の消費量を越してしまうという逆転現象まで起きている。またティーンエイジャーの高コレステロール化阻止にも貢献、今では逆に日本の若年層のほうがコレステロール値が高いというようなことさえもいわれている。
米国では、上記のような食生活全般の見直しにより、疾病予防に着実な成果を挙げてきたが、日本でも若年層の野菜離れを危惧して、2002年7月、「5 A DAYプログラム」に習い、ファイブ・ア・デイ協会を設立。また医学、栄養学等の学識経験者等を中心とした「野菜等健康食生活協議会」なども野菜・果物の消費啓発活動に本格的に乗り出している。
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