【 2007/2 】

乳がんリスク、栄養過多や食物繊維摂取不足が関与

米国では女性のがん罹患率で乳がんがトップに位置し、予防素材の研究が盛んにおこなわれている。日本は欧米に比べ、乳がん罹患率が低いが、その原因の一つに大豆製品を多く摂ることがいわれている。

とはいえ、近年、食の欧米化により、乳がん罹患が増えることが懸念されている。
2月に、厚生労働省の研究班が乳がんリスクに関して、日本の10府県40〜69歳の女性55,000人を対象にした調査(10年間追跡)結果を発表したが、これにより、初潮を迎えた年齢が早い女性ほど乳がんリスクが高く、長身や肥満など栄養状態もリスクに関与していることが明らかとなった。

乳がんリスクについては、「脂肪過多の食事」がこれまでに指摘されている。
ボストンの研究グループが、大学の看護婦調査(Nurse'Health Study II)の参加者、26歳から46歳の閉経期前の女性9万655人を対象に8年間追跡調査をした(調査期間中に714人が乳がんに罹患)研究では、赤身の肉や乳製品から脂肪を最も多く摂取したグループは最少のグループに比べ、乳がん罹患率が高くなっていたことが分かったと報告している。

では、どのような食生活が乳がん予防に役立つのか---。
最新の研究では、食物繊維の摂取が若年層の女性の乳がん予防に役立つことが報告されている(International Journal of Epidemiology誌)。 University of Leeds研究者グループが、UK Women's Cohort Study(217項目の食物関連調査(FFQ)に基づき女性の食物摂取を査定)のデータを分析したもので、総食物繊維摂取が30g以上/日のグループは20g以下のグループと比べ、閉経期前の女性で乳がんの危険性が52%減少したことが分かったという。
リスク低下については、シリアルからの食物繊維(13g以上/日)で41%(4g以下と比較)、果物(6g以上)で29%(2g以下と比較)減少したという。

食物繊維の乳がん予防については、これまでにも報告されている。スウェーデンの研究グループが、閉経期後の女性 11,700人以上を対象に食物繊維や植物性食品などの摂取と乳がんの発生率を分析したところ、食物繊維の摂取量が最も多いグループは乳がんに罹る危険性が40%低く、さらに、豊富な食物繊維と低脂肪との食事を組み合わせると、危険率は最低になることもわかったと報告している。


米国で女性の乳がん罹患は1980年から増え続け、90年代以降は増加はゆるやかになったものの、依然罹患率のトップで、既存医療に代替医療を加える患者が増えている。 ちなみに、米国中西部にある大学医療センターが乳がんで通院する112人の患者を対象に調べたところ、最も利用者の多かった代替医療が「祈り」で76%、「エクソサイズ」が38%、「スピリチュアル・ヒーリング」が29%。ほかに、「メガビタミン服用」「イメージ療法」「ハーブ」「リラクゼーション」「ダイエット」「ホメオパシー」「エネルギー・ヒーリング」「マッサージ」などが併用されていたという。

「ハーブ」では、更年期障害や自律神経の失調など女性特有の疾患に有用といわれるブラックコホッシュが、乳がん治療剤と相互作用を起こす危険性があると指摘され、使用の際の注意が促されている。

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