【 2007/8 】

コーヒーに緑茶、がんリスク低下に関与

日頃、我々が口にする嗜好飲料にはどのような健康効果があるのだろうか----。
例えば、赤ワインなどの飲酒は、1日に1〜2杯程度であれば、心臓病や卒中、前立腺肥大などの危険性を低下することが報告されている。

日本人に馴染み深い嗜好飲料というとコーヒーと緑茶であるが、こうした嗜好飲料の健康への影響についても研究が進んでいる。
先頃、厚生労働省研究班が、コーヒーの肝臓がんリスク低下の可能性について、日本人を対象とした5件の調査の分析で、「ほぼ確実」という結論に至ったと報告している。 1990年-2001年の男女約9万人を対象とした追跡調査では、ほぼ毎日飲む人の発症リスクは、ほとんど飲まない人の半分であることが分かったという。

海外メディアもコーヒーの肝がん予防を報じている。Hepatology誌最新号によると、Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri研究者グループが、コーヒー摂取に関する対照研究6件およびコホート研究4件(南ヨーロッパおよび日本から肝がん症例2,260件)を分析したところ、対照研究では肝がんの危険性が46%、コホート研究では36%低くなっていることが分かったという。

また、コーヒーに含まれるカフェインは、脳細胞の増加に関与することも動物実験で報告され、記憶機能への影響が推測されている。 Neurology誌最新号で、カフェインが認知機能衰退の遅延に有用であることが報じられている。INSERM U888研究者グループが、65歳以上で認知症の徴候が見られない男性2,820人、女性4,197人を対象にコーヒーなどからのカフェイン摂取に関するデータを採取。4年間経過を観察したところ、カフェイン摂取が多いグループは少ないグループに比べ、話し言葉の回復が進み、記憶の衰退もそれほどではないことが分かったという。


他にも、アリゾナ大学の研究グループが、65歳以上の高齢者40人に360ml入りレギュラーコーヒーを与え、その後、記憶力テストをしたところ、デカフェ(カフェインが少ない)コーヒーを飲んだグループに比べ、レギュラーコーヒーを飲んだグループのほうがテストの成績が良かったという報告もある(Psychological Science誌'02/1月号)。

緑茶についてはどうか。Carcinogenesis最新号で、結腸がん細胞の増殖抑制に有用であることが報じられている。University of South Carolina研究者グループらが、生後8週間のマウスを2グループにわけ、それぞれに水か、または緑茶溶液(0.6%)を4〜8週間与えたところ、緑茶グループでは、結腸の新しい腫瘍形成が目立って抑制されたことが分かった。ただ、既にある大きな腫瘍に対して影響は見られなかったという。

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