【 2007/12 】

増加する鬱症人口、葉酸(ビタミンB群)やオメガ3脂肪酸の有用性に期待

競争社会の米国では、大人で鬱症状に悩む人口が5人に一人といわれる。カバカバやメラトニン、セント・ジョンズワートなどのリラックスサプリメントが長らく人気を誇っている。Nutrition最新号に掲載された記事によると、ビタミンB群の葉酸が男性の鬱症状改善に有用であるという。

日本でもここ数年、鬱症状に悩む人口の増加が報告されているが、日本の国際医療センターなどの研究者グループが、日本人の被験者517人(うち女性208人)を対象(平均年齢42.7歳)に、オメガ3脂肪酸、葉酸、その他のビタミンB群の摂取の影響をみたところ、葉酸の摂取量が最も多いグループ(235マイクログラム)は、最低のグループ(119マイクログラム)に比べ、鬱症状が半減したことが分かったという。ただ、その他のビタミンB群やオメガ3脂肪酸に影響は見られず、また女性グループにも際立った変化は見られなかったという。

葉酸はビタミンB群の一つで、豆類や緑葉野菜に含まれ、不足すると胎児の発育や神経管障害が生じるとされ、1日400マイクログラム摂ることが推奨されている。米国では、1998年1月以降パン類、小麦粉、パスタなど全ての穀類製品に葉酸を添加・強化することを義務付けている。

葉酸については、オックスフォード大学の研究グループが行った研究でも、鬱病の通常治療に加え葉酸を与えたところ、有効性が現れたことを伝えている。今回の研究では、葉酸がクローズアップされたが、鬱病患者115人を調べた研究では、血中のビタミンB濃度が高いほど、薬剤治療の効能が現れることが分かっている。鬱病患者の血中ビタミンB濃度は低いという報告もある。

また、B12については、メリーランドの研究グループが、65歳以上の女性700人を対象に調査したところ、鬱病でない女性478人のB12欠乏は15%、軽い鬱病100人中ではB12欠乏が17%、重症の鬱病122人中ではB12欠乏が27%認められ、B12欠乏で鬱病罹患のリスクが高まることが判ったと報告している(American Journal of Psychiatry '99/5月号)。


今回、オメガ3脂肪酸に鬱症状の改善傾向が見られなかったと報告されたが、1998年、Journal of Affective Disorders誌に掲載された研究では、鬱病患者のオメガ3系脂肪酸の血中濃度が目立って低いと指摘している。また、Archives of General Psychiatry誌'99/5月号に掲載された研究では、躁鬱病患者30人にDHAやEPAといったメガ3脂肪酸を多く含む魚オイルを1日10g、4ヶ月間与えたところ、64%に症状の回復が見られたことが報告されている。

この他、ビタミンEも、鬱との関連が報告されている。European Journal of Clinical Nutrition'05/2月号によると、オーストラリアの研究グループが、鬱病患者49人のアルファトコフェロール値を測定、また被験者の食生活を調べたところ、鬱病患者は健康体被験者に比べ、ビタミンE濃度が低いことが分かったという。

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