【 2008/1 】

全粒穀類、心臓病の危険性低下やメタボ対策に有用

日本では、4月からの40歳以上の健康診断義務化でメタボリック対策に関心が集まっている。 肥満大国米国では、メタボ対策は今に始まったことではないが、内実はかなり深刻だ。過食や高脂肪食の弊害で、早急なダイエットやコレステロールカットをしないと心臓病のリスクが高まるためだ。

これまでにもさまざまなダイエット製剤が発売されてきたが、やはり日頃の「食」管理が重要であると、米国では全粒穀類の摂食に関心が集まっている。食物繊維やビタミン・ミネラルを多く含む未精製穀類は、肥満解消や糖尿病予防に一役買う。

American Journal of Clinical Nutrition最新号で、全粒穀類は心臓の健康維持に有用であるという記事が掲載されている。研究は、Pennsylvania State University、Pennsylvania State University College of Medicineなどの研究者グループによるもので、平均年齢46歳の女性25人、男性25人に、500キロカロリーカットした食事を与え、その後、半数に穀粒を全粒に、残りに全粒でない穀粒を12週間与えた。

結果、それぞれ、体重、ウエスト周囲、体脂肪率が減少したが、特に、全粒グループは腹部の体脂肪率の低下が著しかったという。また、全粒グループはII型糖尿病や心臓病発症のリスクが38%低下したという。

他にも、全粒穀が心臓病やメタボ対策に有用であることが報告されている。University of Maryland研究者グループが、60歳から98歳の被験者535人の食習慣、運動や喫煙・飲酒などのライフスタイルを調査したところ、ぬかや玄米、オートミールなどの全粒穀類を最も多く摂取したグループ(3杯分/日)は少ないグループ(1杯分未満)と比べ、高血圧や高脂血症、糖尿病などのリスクが半分未満になっていることが分かったという(American Journal of Clinical Nutrition誌06/1)。

「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」でも全粒穀類の摂食を推奨

肥満は糖尿病や心臓病を招く元となる。米国がどれほど肥満対策にやっきになっているかは、「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」(米国保健社会福祉局)をみてもわかる。同ガイドラインは米国民がより健康でいるための食や運動による健康管理の指針で、5年ごとに改訂される。


2005年版で、初めて食物繊維やビタミン・ミネラルを多く含む全粒穀、いわゆる未精製穀物は健康管理に欠かせないと明示。全粒穀物は1日当たり3オンス(約85g)以上、穀類の総摂取量のうち、少なくとも半分は全粒穀物で摂るよう推奨した。

また、全粒穀はがん予防に役立つことも報告されている。International Journal of Epidemiology誌07/2月号によると、食物繊維は若年層の女性の乳がん予防に有用であるという。

University of Leeds研究者グループが、UK Women's Cohort Study(217項目の食物関連調査に基づき女性の食物摂取を査定)のデータを分析したところ、危険性低下は、とくにシリアルや果物からの食物繊維摂取との関連性が高く、食物繊維の総摂取が30g以上/日のグループは20g以下のグループと比べ、閉経期前の女性では乳がんの危険性が52%減少したことが分かったという。

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