【 2008/3 】
野菜・果物、残留農薬で高まる安全性論議
1月末、中国冷凍ギョウザの残留農薬問題が発生し、「食」の安全・安心論争が一気に高まった。グローバル化により、食糧の多くを海外に依存している日本の検疫体制を強化する必要性が論じられた。
2008年3月28日に開催されたNPO法人良い食材を伝える会「食材の寺子屋」主催の市民公開講座「寺子屋の論客が斬る、現代の食」でも、服部幸應氏(医学博士・東京農業大学客員教授・NPO法人「良い食材を伝える会」理事)、本多京子氏(医学博士・管理栄養士)らをパネリストに、食品偽装や農薬の安全性など現在の「食」が抱える諸問題の活発な討議が行われた。
とりわけ、現代人が懸念しているのが生命・健康維持に直結する食材の残留農薬の問題。原材料表示から原産地を確認できても、加工食品については表示義務がないため、疑心暗鬼にかられるという状況も生じている。
現在、食品の安全性や農薬などリスクを評価する内閣府の食品安全委員会で行われている食品健康影響評価の審議でも、農薬(384)が最も多く、以下動物用医薬品(252)、添加物(83)、遺伝子組み換え食品(69)、化学物質・汚染物質(51)などが続く(平成20年3月5日現在)。
本来、ヒトの健康に有益であるはずの野菜・果物が、農薬使用という「経済」効率を優先させた結果、緩慢な健康被害を招く、健康に不利益をもたらすものになってはいないか。
米国では、'90年代に入って、野菜・果物が糖尿病のような生活習慣病やがん予防に有用であるとし、米国立がん研究所を中心に、健康・医療の公共機関や民間の食品製造業者らが、「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」運動を展開した。これは、低脂肪・高食物繊維食を食習慣に定着させるために、野菜・果物を1日に5皿分以上摂ること目指すというもの。
また、1990年にはがん予防対策の一貫として、野菜の機能性に着目し、「デザイナーフーズ」プロジェクトを開始。キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科(十字架)野菜を「最もがん予防の可能性が高い」食材と評価している。
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