【 2008/5 】

メタボや糖尿病対策に期待、米ケフィラン

5月18日(日)、東京国際フォーラムで「米ケフィランセミナー」が開催された。米ケフィランは大和薬品鰍ェ開発した機能性素材で、腸内環境を整える働きがある。同社では、長寿地域として知られる東欧のコーカサス地方やビルカバンバで、発酵乳(ケフィール)が伝統的に常飲されていることに着目。日本人の主食である「米」を培地に、LK乳酸菌(L.kefiranofaciens)を用い、ケフィランを高濃度に含む「米ケフィラン」の量産体制を確立した。

セミナーでは、腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡知足氏(東京大学名誉教授)が、100種、100兆匹といわれる腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大別されるが、加齢や肉食やストレスや薬物などで、悪玉菌が優勢になりさまざまな疾患を呼び込み原因になるとし、腸内環境を整えることが重要であることを報告した。

米ケフィランは、動物実験で血圧や血糖の調整作用も報告され、メタボリック対策にも期待されている。メタボの延長線上には糖尿病があるが、先頃、厚労省が発表した「2006年国民健康・栄養調査」では、日本の糖尿病患者及び予備軍は1,870万人と推定、4年間で250万人の増加といった状況で対策が急がれている。

石井伊都子氏(千葉大大学院薬学研究院・准教授)らの研究では、米ケフィランの脂質代謝や動脈硬化抑制の可能性も示唆されている。ウサギによる動物実験では、それぞれ6羽づつ、1)0.5%コレステロールを添加した食餌を与えたグループ、2)1%米ケフィランを含む0.5%コレステロール含有の食餌を投与したグループに分け、8週間人工的に動脈硬化を起こさせた。結果、大動脈での粥状動脈硬化巣が、1)では血管全体で観察されたが、2)では動脈上部で病巣が見られたものの、他の部位では抑制されていることが判ったという。

糖尿病予防に関連した最近の研究報告では、カレーの色素で知られるターメリック(カークミン)が糖尿病予防に有用であると、Molecular Nutrition & Food Research最新号で報じている。


Sunchon National University、Columbia Universityなどの研究者グループによるもので、糖尿病マウスと非糖尿病マウスを使い、カークミン(0.02%)を混入したエサ、混入しないエサのどちらかを6週間与えた。
結果、カークミン群では混入しない対照群に比べ、グルコース値(血糖値)が低く、体重増加も少なかったという。

また、Nutrition Research誌08/5月号で、地中海松樹皮の成分、ピクノジェノールは糖尿病患者の心臓の健康維持に有望であると報告されている。
University of Arizona研究者グループらによるもので、平均年齢60歳の糖尿病患者48人に、ピクノジェノール(125mg/日)か、プラセボ投与群に分け、12週間、被験者全員に降圧剤を投与した。
結果、ピクノジェノール群の58%が血圧コントロールに成功。プラセボ群は20.8%だったという。また、空腹時の血糖値は、プラセボ群が5.7mg/dL低下、ピクノジェノール群は23.7mg/dL下がったという。


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