また、アルツハイマー症については、現在「βアミロイド蛋白(注)」説が最も有力視
されているが、活性酸素のダメージによるところも大きいとされ、EやCといった抗酸化ビタミン、
また、ポリフェノール類の強力な抗酸化力による脳損傷の防止に期待が寄せられている。
ニューヨークの研究グループが、1991〜1996年、マンハッタン在住
の高齢者980人のデータを分析したところ。4年間の追跡研究期間で、260人が痴呆症を
発症、うち199例がアルツハイマー疾患で、61例は卒中原因の痴呆症だったが、
分析の結果、ワインを全く飲まないグループに比べ、1日3杯飲んだグループは
アルツハイマー疾患の危険性が45%減少していることが分かったという。
(Journal of the American Geriatrics Society'04/4月号)
赤ワインのがんへの有効性についてはどうか----。
前述のレスベラトールに関しては、抗がん作用があることも報告されている。
Journal of the European Molecular Biology Organization誌に掲載された記事によると、University of Virginiaの研究グループが、レスベラトロール
は、がん細胞に栄養を与えるプロテインである転写因子NF-kBの活動を抑制
することで、がん細胞を自滅させる作用があると報告している。
ただし、転写因子NF-kBのがん細胞への栄養補給を止めさせるには、ワインを
グラス1杯、週に3〜4回にする必要があり、それ以上になるとかえって危険性
を増大する恐れがあるともいわれている。
一方、赤ワインについて、ネガティブ報告がないわけでもない。
International Journal of Cancer誌に掲載された記事によると、
スウェーデンの研究グループが閉経後の女性12,000人を10年間調
べたところ、ワインを1日1.5杯(約45ml)飲む場合、それ以下と比べて、乳がん
の危険性が2倍になっていることが分かったと報告している。
また、ワインを多飲すると結腸がんに罹る危険性が高くな
るということが、Scientific Meeting of the American College of
Gastroenterologyで報告されている。
ニューヨークの研究グループによるもので、結腸がんの兆候のない被験者で
平均年齢57歳の2千人を対象に調べたところ、週に最低9杯以上のワインを飲む
ヘビードリンカーは、1983年から1993年までに10年間の調査で結腸がんにかかる危険性
が3.3倍高いことが分かったという。反対に、1〜8杯の場合、その危険性は63%
低かったという。
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注)βアミロイド蛋白:幾つかのタンパク質のカスのかたまり
が沈着したもので、神経細胞を殺す毒性があるといわれている。
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