【 2009/2 】

増加する高齢者人口、求められる認知症予防に有用な食品

2015年、戦後生まれの団塊の世代が65歳以上になる。そして、2025年には、高齢者人口は3500万人に。つまり65歳以上が3人に一人。超高齢化時代の到来である。加齢に伴い懸念される疾患といえばがんだが、周辺には高血圧に糖尿病に認知症にとさまざまな疾患が待ち受けている。

認知症については、2015年には日本で250万人に達するとみられている。発症原因に、脳内のフリーラジカル損傷やアミロイド蛋白の沈着などが挙げられているが、有効な治療法の確立には未だ至っていない。

日本では厚労省が認知症対策として「認知症サポーター100万人キャラバン」事業を支援。認知症患者やその家族を助け合う認知症サポーターを全国で100万人養成し、安心して暮らせる街作りを目指している。本年中に認知症サポーター100万人を目標としているが、昨年7月末の段階ですでに約58万人がサポーターとして登録しているという。

高齢者の増加は日本ばかりではない。先進諸国がかかえる問題でもある。米国では、2011年頃に戦後生まれのベビーブーマーが65歳に達するとされ、認知症など加齢に伴う疾患への対策が急がれている。

日頃の「食」での認知症予防についてはどうか。
最近の報告では、血中のビタミンD濃度と認知症が関連するという記事が、Journal of Geriatric Psychology and Neurology誌09/2月号に掲載されている。Peninsula Medical School研究者グループが、Health Survey for England(2000)に参加した1,766人(男性708人、女性1,058人)を対象に、ビタミンD濃度の指標である25hydroxyvitaminD [25(OH)D]により、認知症および認知機能との関連性を調べた。

結果、認知機能の正常群は、低下群と比べ、血清中の25(OH)D値が高いことが分った。また、最も低い群の認知機能障害を起こすリスクは4倍であることが分かったという。

野菜や果物の摂食が認知症予防に有用との報告もある(The Journal of Neuroscience誌98/10月号)。米農務省支援によるラット実験で、いちご、ほうれん草、ビタミンE剤を配合した食事を8ヶ月間投与した。

結果、毎日いちごを適量あるいはほうれん草サラダをかなり摂ったマウスは、老化による中枢神経組織の衰退や認識行動障害が予防でき、さらに神経変性障害の抑制に効果がみられたという。


研究者らは、加齢により抗酸化物質が徐々に不足していくが、いちごやほうれん草には抗酸化成分が豊富に含まれており、脳のフリーラジカル損傷を抑制していると見ている。

最近の研究でも、アップルジュースが加齢による認知機能低下の予防に役立つことが報告されている(Journal of Alzheimer's Disease誌09/2月号) University of Massachusetts研究者グループが、正常型マウスと、アポリポタンパクEが欠損する別のマウス群に、1)葉酸4mg/kgとビタミンEの50IU/kgを配合した食餌、又は、2)鉄分のみを配合した食餌のどちらかを与えた。

さらに、2)群は、アップルジュースを水で薄めたもの(最終的に0.5%の濃度)を与える群と与えない群に分けた。 1ヶ月間の観察期間で、アポリポタンパクE欠損群は、正常型マウスの1)群に比べ、アルツハイマー病の要因の一つと考えられるベータアミロイド・プラーク値が高くなっていた。また、2)群も、正常型マウスに比べ、ベータアミロイド値が高かったが、アップルジュースを与えた群では、その増大が抑制されたことが分ったという。

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