【 2009/4 】

腸にコーヒー、骨にビールが有用

4月27日付け朝日新聞によると、ブルガリアでヨーグルトの消費が盛んになっているという。世界的な金融危機で外資が引き上げられ、ブルガリアへの投資が4割近く落ち込んだことが一因という。

ブルガリアでは自家製ヨーグルトを作る家庭が多くあり、伝統的に摂ってきた。東西冷戦後の市場経済導入で好景気に湧くと、人々の食生活は西欧化へと傾いたが、金融危機は人々をぜいたくな食生活から自家製ヨーグルトのような安価な伝統食に向かわせたという。

ヨーグルトは健康長寿に欠かせない素材として知られる。コーカサス地方など世界の長寿地域では伝統的にヨーグルトやチーズのような発酵食品を常食している。 ともあれ、今回の金融危機はブルガリアの人々の健康長寿のためには有益であったと振り返る日も来るに違いない。

ヨーグルトやチーズといった発酵食品は、腸内の有用菌を増やし、免疫強化や老化防止に貢献するとされている。100種類、100兆匹といわれる、人間の腸内に棲む細菌は、ビフィズス菌に代表される「善玉菌」、大腸菌などの「悪玉菌」に大別されるが、前者が腸内で優勢だと健康の維持・増進に役立つ。

ところが、後者が優勢だと、免疫低下や老化、発がんなどを引き起こす。また、加齢でも「善玉菌」は減り、「悪玉菌」は増える。ストレスは腸内細菌叢のかく乱を起こす原因ともなる。現代人は、いかに「腸の健康」を保つかが、健康長寿の大きなカギとなる。

「腸の健康」に関して、最近の報告では、コーヒーがビフィズス菌の増加に関与し、腸の健康維持に役立つという研究報告が、International Journal of Food Microbiology誌09/3月号で報じられている。
Nestle Research Center研究者グループが、BMIが20〜30kg/m2の健康体被験者16人(平均年齢21〜57歳)を対象に、インスタントコーヒーを1日3杯、3週間与える実験を行った。この間、被験者にはヨーグルトなどの製品の摂取を禁じた。

実験前後に被験者の便を比較したところ、腸内菌の株数には有意な変化が見られなかったが、ビフィズス菌に限っては有意な増加が見られた。特に、実験前に数の少なかった群でこの変化が認められた。また、実験後、ビフィズス属の代謝活動が活発化したことも分ったという。

コーヒーに関しては、他にも糖尿病への予防効果などが、これまでに報告されている。日頃たしなむ嗜好飲料に健康効果が認められることは現代人にとっては願ってもないことだ。ちなみに、ビールおよびワインの適量摂取は骨の健康維持に有用であることが、The American Journal of Clinical Nutrition誌09/4月号に掲載されている。


Tufts medical center研究者グループが、男性1,182人、閉経後の女性1,289人、閉経前の女性248人(26〜89歳)を対象に、飲酒とBMD(骨ミネラル密度)の関連性を調べた。臀部、腰部背骨などでBMDを計測した結果、飲酒習慣が無い群に比べ、ビールまたはワインを1〜2杯/日の割合で飲酒する男性群では、2.4〜4.5%増大していることが分ったという。

また、同様の割合で飲酒する閉経後の女性たちも、臀部および背骨のBMDが5〜8.3%増大していたという。ビールに含まれるオルトケイ酸やワイン成分のレスベラトロールが骨の形成をサポート、あるいは骨損失を低下すると考えられるが、研究者らは、飲酒量が多くなると効果は消えると指摘、研究結果は、飲酒を奨励するものでは無いことを強調している。

Copyright(C)2009 JAFRA. All rights reserved.|HOME >