【 2009/5 】

カロテンやカークルミン、肥満・メタボ対応で注目

4月、「必ず痩せる」と痩身効果を訴求した健康食品の販売会社が薬事法違反の疑いで摘発された。ネット上では、「肥満遺伝子治療」などと謳っていたという。5月、相次ぐ薬事法違反に対し、警視庁は厚労省と都に、健食業界に適正指導を行うよう要請書を出した。

消費者のダイエット願望に訴える商品は、根強い人気がある。メタボ対策で肥満解消グッズも関心を集めている。
一方で、少し太めのほうが長生きできる、といった調査結果も日本肥満学会で報告されている。調査は、筑波大や独協医科大のグループによるもので、茨城県在住の40〜79歳の男女、約9万人を対象に、体形別による病気罹患や死亡確率を調べた。結果、高齢男性の場合、少し太めのほうが長生きしていることが判明したという。

肥満は高血糖や高脂血症などメタボリック症候群のリスクファクターを内包している。肥満解消はメタボ対策の第一歩といえる。中高年の男女は運動不足や栄養の偏りなどが懸念されるため、やはりメタボリック症候群には留意したほうがいい。

最近は、若年層の間でメタボ予備軍が増加しつつある。厚生労働省研究班の調査が、06-08年に千葉、富山、鹿児島の高校生男女約1500人を対象に身長や体重、血圧などを調べたところ、およそ4割が血圧、血糖値などで基準値を超えていたという。いわゆるメタボリック予備軍である。

メタボ対策やダイエットに有用な素材については、野菜・果物に多く含まれるカロテノイドがメタボリック症候群予防に役立つことが報告されている(Journal of Nutrition誌09/5月号)。
University Medical Center Utrecht研究者グループが40歳から80歳の男性374人を対象に、カロテノイド(アルファ/ベータ カロテン、ベータ クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン)摂取を調べた。結果、全てのカロテノイドを最も多く摂取している群では、メタボリック症候群の発症が58%低下していることが分った。特に、リコペンの最多摂取群は、リスクが45%低かったという。

また、カレー粉に使用される原料として知られるカークルミンがダイエットに有用ということも報告されている(Journal of Nutrition誌09/5月号)。

Tufts University研究者グループがカークルミンを使ってin vitroおよびin vivo試験を行ったところ、3T3-L1脂肪細胞にカークルミンを投与したin vitro試験では、細胞の増殖抑制とアポトーシスの促進が観察された。

また、in vivo試験では、マウスに高脂肪食(22%)とカークルミン500mg/kgを12週間与えたところ、体重の増量を抑え、脂肪重量を削減したことが分ったという。

他にも、グレープ成分のポリフェノールはダイエットに役立つことが、Molecular Nutrition and Food Research誌09/4月号に掲載されている。University of Montpellier研究者グループが、ハムスターをグループ分けし、標準のエサ、高脂肪のエサ、高脂肪のエサ+グレープシードエキスをそれぞれ与えたところ、12週間の研究期間で、標準のエサ群に比べ腹部の脂肪が増加したのは高脂肪群のみだったという。

Copyright(C)2009 JAFRA. All rights reserved.|HOME >