【 2009/6 】

うつ病対策、オメガ3系脂肪や葉酸が有用

6月 12日付けの朝日新聞で、「中高年のうつ、男性ホルモン関係か」という内容の記事を掲載している。
やる気が出ない、眠れない、といったうつ病の初期症状とも誤診されかねないような状態が、実は男性ホルモンの分泌低下でもたらされる加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群かも知れないと報じている。

男性ホルモンの分泌は20代をピークに加齢とともに減っていく。これにより意欲減退や動悸息切れなどのLOH症候群の症状を示すようになるが、原因は主にストレスにあるという。今年度、厚生労働省研究班はLOH症候群250人を対象に、ホルモン補充療法の有効性について確認するという。

昨今、日頃のストレスが原因で、うつ病かもと気を病む人々が増えつつあるといわれる。実は、うつではなく、ストレスで男性ホルモンの分泌が低下し、うつ症状にも似たLOH症候群を招いている可能性がある。LOH症候群やうつ病対策にはまずストレスをいかに解消するかが必須といえそうだ。

食品の機能性成分で、うつ病対策に役立つものとしては、魚油などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸などが挙げられる。
フィンランドの研究者グループが、フィンランドの4地域に住む3千204人を、魚を1週間に1回、あるいはまったく食べないグループを「あまり食べない」に分類(全体の30%)したところ、全体の28%が中度あるいは重度のうつ症状を示していることが分かったという(00/5,American Psychiatric Association会合)。

最近の研究でも、EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったオメガ3系脂肪酸がうつ病症状と関連していることが報告されている(American Journal of Clinical Nutrition 誌08/5月号)。 University of Bordeaux 2研究者グループが、平均年齢74.6歳の1,390人(女性65%)を対象にうつ病症状をCenter for Epidemiologic Studies Depressionスケールで評価した。また、被験者の脂肪酸血中濃度も計測した。結果、うつ病患者のEPA濃度は0.85%、健康体被験者の濃度は1.01%だった。EPAを除いて、うつ症状に関する血中脂肪酸濃度で有意の影響は見られなかったという。

また、葉酸のうつ病への有用性も報告されている。葉酸はビタミンB群の一種で、緑葉野菜や果物、豆類などに多く含まれる。妊娠適齢期あるいは妊娠中の女性で葉酸が欠乏すると、胎児の脊椎披裂や神経管障害が引き起こされる恐れがあるとされ、米国では国をあげて摂取を奨励している。

葉酸が、とくに男性のうつ症状改善に有用であると、Nutrition誌07/12月号で報じられている。日本の国際医療センターなど研究者グループが、日本人被験者517人(平均年齢42.7歳、女性208人)を対象に簡易自己投与食事履歴質問(BDHQ)を利用して、オメガ3脂肪酸、葉酸、その他Bビタミンの影響を評価した。

結果、葉酸の摂取量が最大のグループ(235マイクログラム/100Kcal)では、最低のグループ(119マイクログラム/100Kcal)に比べ、うつ症状が50%減少したことが分かったという。また女性グループでは際立った変化は見られなかったという。

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