【 2009/7 】
CoQ10やザクロ、精子可動に関与
国立循環器病センターの調査で出生時に低体重の人は生活習慣病になりやすいことが明らかになった。
調査は、06-08年、同センター検診の40〜69歳の男性521人、女性720人を対象に、出生時の体重が500g以下、2500〜3500g、3500g以上の3グループに分け、血圧やコレステロール値などを比較した。結果、低体重出生の男性はコレステロール値が高く、女性は高血圧の傾向にあったという。
出生時、低栄養による低体重の人は将来身体の代謝機能に弊害が及ぶ---。こうした説は、英国の科学者、バーカーが唱えた説として知られているが、今回それを裏付ける格好となった。
バーカーは母子の健康や栄養状態が劣っていた1920〜30年代に生まれたヨーロッパ人を追跡調査。胎内及び早期乳児期に低栄養だと、その後の身体の組成や生理機能、代謝に影響を及ぼすと唱えた。
日本では70年代以降、低出生体重児の出現が増えている。となると、生活習慣病になりやすい人々が増加しているということか。では、低出生体重児の出現の原因は何か---。
原因として挙げられているのが、妊娠適齢期女性の「低栄養による痩せ」。
さらに、挙げられているのが「喫煙」。「平成19年度国民健康・栄養調査結果の概要」で厚生労働省は「喫煙」状況を報告しているが、男女とも20-40歳代で喫煙者が多く、男性の約4割が喫煙、女性では約1割が喫煙している。近年、男性の喫煙率は減少傾向にあるが、女性の喫煙率は横ばいといった状況だ。
妊婦の喫煙は、タバコのニコチンが胎児の脳神経系に作用するとされ、妊娠中に喫煙した母親から生まれた子どもは注意欠陥多動性障害の発症率が高いともいわれる。
現代は、胎児にとって、受難の時代といえる。さらに言えば、胎児の元となる精子にも災いは及んでいる。ダイオキシンや環境ホルモンといった化学物質の影響による精子数の減少も指摘されている。
栄養成分と精子に関わる最新の研究報告では、CoQ10が精子の質向上に有望であると、Journal of Urology誌09/6月号が報じている。Shahid Beheshti University研究者グループが生殖力のない男性212人を対象に、CoQ10サプリメントを300mg/日か、プレセボのどちらかを26週間投与した。結果、精子の密度および可動性が、サプリメント群で有意に改善したことが分った。また、サプリメント群では、精子が卵子に侵入する際に示す反応、精子先体反応が100%増進した。プラセボ群では1%増だったという。
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