【 2005/2 】

「2005年度版アメリカ人のための栄養ガイドライン」発表、注目される日本の伝統食

1月に、米国で政府機関がカロリー削減と運動を奨励する改訂版食生活ガイドライン「2005年度版Dietary Guidelines for Americans」を発表した。科学者、医師などのパネラー13人がアメリカ人の肥満や動脈硬化、心疾患など生活習慣病を予防し、健康維持に必要な食品の摂取基準を示したもので、5年ごとに改訂される。
この中で、とくに強調しているのが、未精白の全粒粉穀類とω-3系脂肪酸を多く含む魚の積極的な摂食である。世界でもトップの長寿を誇る日本の伝統的な素材が健康管理に有用であると認められた格好となっている。

ちなみに、米国では、FDA(食品医薬品局)が魚油に含まれるω-3系脂肪酸の多いDHAやEPAが心疾患予防に有用であるとして、関連製品に「最終的な結論ではないが、EPAとDHA摂取が心臓病の危険性減少の一助となるという研究成果を支持する」といった表示を認めている。

日本の伝統食材で注目されているのは、穀類や魚ばかりでない。大豆や緑茶の健康効果についても盛んに研究が進められている。 緑茶については、活性成分のポリフェノール、エピガロカテキンガレート (EGCG)の高い抗酸化力が注目。コレステロール値の低下、高血圧や心臓病の予防、がんなどへの有効性で研究者らの関心が集まっている。

カプセルタイプの緑茶エキス製品、有用性で評価

こうした緑茶の"ファンクショナル"ティーとしての効果が米国で喧伝され、ブームとなっているが、多少難があるのが緑茶独特のほろ苦い味。健康効果は認められるもののアメリカ人には飲みずらいといったことから、緑茶抽出物をカプセルにしたダイエタリーフードが受けている。サプリメントタイプだと抵抗なく利用できるが、その有用性もお茶と比べて遜色ないばかりか、むしろお茶よりも優れているという研究報告も出ている。

American Journal of Clinical Nutrition'04/12月号に掲載された記事によると、緑茶成分の吸収は、お茶飲料として飲むよりエキスカプセルの方が良い、という。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループによるもので、被験者30人に緑茶を多量、少量、紅茶、緑茶エキス(カプセル)を与え、血液サンプルからその吸収率を調べた(与えられた抗酸化成分量は同じ)ところ、緑茶エキス(カプセル)は最も吸収が良く、血中での抗酸化作用も増大していることが分かったという。

また、緑茶エキスに関するものでは、先頃American Journal of Physiologyで、緑茶エキスは運動量アップに有望であるという内容の記事が掲載された。 日本の花王の生化学研究所の研究グループによるもので、マウスに緑茶サプリメントを10週間与え、泳ぎをさせたところ、対照グループのマウスと比べ泳ぎが長時間にわたり、また力強い泳ぎであることが分かったという。この結果について、研究グループは、緑茶エキスが脂肪を効率よく燃焼させたためと考えているという。

緑茶については、今後がんやエイズへの作用の研究も期待されているが、一方で、がんへの有効性を否定する研究報告も発表されている。昨年、The New England Journal of Medicineに掲載された研究で、最低40歳の 日本人26,311人を対象に、緑茶の摂取頻度(1日に1杯(100ml)未満、1〜2杯、3〜4杯、5杯以上のグループに分類)と家族の病歴を9年にわたって追跡調査したところ、研究期間中に419件の胃がん罹患が報告されたが、罹患はどのグループもばらついており、とくに緑茶と胃がんとの関連性は確認されなかったという。


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