【 2010/2 】

乳がん予防、植物性食品中心の食事に

2005年、米国の食品・製薬・医薬業界を騒然とさせる書籍『THE CHINA STUDY(ザ・チャイナ・スタディ)』が発刊された。“栄養学のアインシュタイン”とも称される栄養学研究の世界的権威、T・コリン・キャンベル博士らが長年かけ中国で行った大規模疫学調査の分析結果を明らかにしたが、産業界に不利益になると判断した米政府が研究成果をことごとく握り潰してきたという経緯がつづられている。

また、肉や牛乳の動物性たんぱく質がガンを促進する、動物性食品からの栄養は「腫瘍の成長」を増加させるが、植物性食品は「腫瘍の成長」を減少させる、といったことが紹介されている。

同書の翻訳本が、09年12月、『葬られた「第二のマクガバン報告」(上)』というタイトルでのグスコー出版から刊行された。上、中、下の3部作で、ヘルシーインタビューでも概要を紹介している。

米国では乳がんががん罹患率のトップがといわれているが、動物性食品の摂取が大きく影響していることが指摘されている。また、その予防策として、食物繊維を多く含む野菜の摂食が有効であることが報告されている。『葬られた「第二のマクガバン報告」(上)』でも、食物繊維など含むホールフード、つまり植物性食品全体を摂ることが好ましいとしている。

食物繊維の乳がん予防については、スウェーデンの研究グループが、閉経期後の女性 11,700人以上を対象に食物繊維や植物性食品などの摂取と乳がんの発生率を分析したところ、食物繊維の摂取量が最も多いグループは乳がんに罹る危険性が40%低く、さらに、豊富な食物繊維と低脂肪との食事を組み合わせると、危険率は最低になることもわかったことを報告している。

最近の報告では、緑黄色野菜などに多く含まれるカロチノイド色素が喫煙者の乳がん予防にも有用であることが、European Journal of Cancer誌10/2月号に掲載されている。

スウェーデンの研究者グループによるもので、Swedish Mammography Cohortに参加した女性36,664人を対象に、カロテン摂取と乳がんリスクとの関連性を検討した。経過観察期間は9.4年(期間中、1,008例が乳がんと診断)。

結果、喫煙者群においてαカロテンおよびβカロテン摂取と乳がんリスクには著明な関連性が認められた。αカロテンおよびβカロテン摂取を増大すると、リスクが60%低下することが分ったという。

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