【 2005/3 】

リンゴ、がん予防や肺機能の活発化に有用

野菜や果物の各種疾病やがん予防への有用性に関する報告についてはこれまでにも数多く挙がっている。今回、とくにリンゴとトマトに関するがん予防効果が報じられている。リンゴについては、Journal of Agriculture and Food Chemistry'05/3月号で、リンゴを1日1個食べると、乳がん予防に役立つといった内容を掲載している。 Cornell大学研の研究グループによるもので、乳がんを持つラットにリンゴをエサとして、それぞれ、1個/日、3個/日、6個/日を与えたところ、腫瘍の発生率が、17%、39%、44%と減少した。また、腫瘍の数もそれぞれ25%、25%、61%減少したことが分かったという。

リンゴの各種疾病の予防効果については、これまでにも幾つか報告されているが、リンゴに含まれるフラボノイドのケルセチンが効果を及ぼしていることが推測されている。以前、英国のメディカル誌「Thorax」が一週間に少なくともリンゴを5個摂取すると、 肺機能が活発になるという研究を報じているが、それによると、ロンドンの研究グループが、45 から59歳のウェールズの男性 2,500人を対象に5年間の追跡調査を分析したところ、 一週間に少なくともリンゴを5個食べる人は食べない人に比べ、1秒間の肺活量が多い ことが判ったという。ただ、ビタミンC、β-カロチン、柑橘類と肺活量についても調査 では、関連性は認められなかったという。

呼吸器系の疾患で、リンゴやトマトが有効性発揮

ちなみに、呼吸器系の疾患に関わる研究報告では、リンゴの他にトマトが有効性を発揮すること も報告されている。 American Thoracic Society学会で英国の研究グループが発表したもので、成人 2,633人を対象に、1991年と2000年に、1秒間に肺から吐く空気量の調査を行ったところ、 週にリンゴを5個以上食べると、かなり呼気量が増大することが分かったと報告している。また トマトでも、週に3個以上で同様な有効性がみられたという。

トマトにはカロチノイド色素のリコペンが豊富に含まれることが知られるが、こうしたリコペンが、 運動で引き起こされる喘息症状に有効に作用するということも報告されている。 イスラエルの研究グループによる報告で、運動で誘発される喘息を患う患者20人に1 日1回リコペン、あるいは偽薬を与えたところ、1週間でリコペン・グループは運動後の 喘息の発症を55%低下させたという。

また、リコペンについてはがん予防、とくに前立腺がん予防に関する報告も多い。 つい最近も、リコペンなどのカロチノイドは前立腺がん予防に有望であるという研究報告が、International Journal of Cancer'05/3月1日号に掲載された。 Curtin University of Technologyの研究グループによるもので、中国人前立腺患者130人とそうでない対照グループ274人を比較調査したところ、リコペン、アルファカロチン、ベータカロチンなどの摂取を増やすと前立腺がんの危険性が低下することが分かったという。

また、トマト関連製品やリコペンを多く配合する食品を摂取すると、すい臓がん予防に役立つという研究報告が、Journal of Nutrition'05/3月号に掲載されている。 カナダの研究グループによるもので、すい臓がん患者462人の食生活データと対照グループ4,721人とを比べたところ、主にトマト関連製品からのリコペン摂取量が最も多いグループは最低グループに比べ、すい臓がんの危険性が31%低下していることが分かったという。


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