【 2010/9 】

かんきつ類、がん予防に有用

10数年前、「成人病」と呼ばれていた各種疾患が、「生活習慣病」という呼称に変わり、多くの人々が大半の疾患が日々の生活習慣からもたらされるものであることを再認識した。呼称の変更は、日々の「食」内容の見直しや、喫煙、アルコール摂取、運動不足などの不摂生の改善を気ずかせるという効用もあった。

そうした、生活習慣の中でも、最も改善すべきものとして叫ばれたのが喫煙。喫煙により、本人のみならず、傍にいる人々も副流煙、いわゆる「受動喫煙」で被害が及ぶこととなる。

日本では、平成15年に「健康増進法」が施行され、学校や病院、劇場、集会場、展示場、飲食店など公共場所での受動喫煙の防止対策が義務付けられた。

厚生労働省研究班が28日に、他人のタバコの煙を吸う「受動喫煙」により死亡に至る人が年間で約6800人に上ることが推計されると報告した。場所では、職場が最も多く約3600人、また家庭で受動喫煙にあいやすい女性は約4600人という。

喫煙者には、なによりも禁煙が望まれるが、ともあれ、がんの三大要因として挙げられるのが、喫煙、食事、感染。喫煙だけでなく、「食」の不摂生もさまざまな疾患をもたらすことは周知。糖尿病やがんについても「食」が大きく関わっていることは明白だ。

がんは3人に2人が罹患し、1人が死亡する時代ともいわれている。良い「食」習慣でがんや生活習慣病を予防することが大切だ。

International Journal of Cancer誌10/9月号では、日本の研究者らによる研究で、かんきつ類成分はがん予防に有用であることが分かったと報じている。Tohoku University Graduate School of Medicine研究者グループが、Ohsaki National Health Insurance Cohortに参加の42,470例のデータを分析し、かんきつ類と緑茶摂取とがんの総合的発症との関連性を評価。被験者の平均年齢は59歳。9年間の経過観察で3,398例のがん発症が認められた。


かんきつ類摂取群を、「全く摂取しない」、「ときどき摂取」、「週に1〜2回」、「週に3〜4回」、「毎日」の5群に分けたところ、「毎日」摂取群に関しては、全タイプのがんで有意なリスク低減が認められたという。

Journal of Functional Foods誌10/8月号では、かんきつ類エキスは糖尿病予防に役立つと報じている。カナダに本拠を置くKGK Synergize研究者グループは、オスのハムスター18匹を3群に分けたところ、通常のエサ+かんきつ類由来フラボノイドの群では、血糖値、インスリン、総コレステロール値などが低下したことが分かったという。

また、空腹時に血糖異常をきたす被験者19例にかんきつ類エキス(1050mg/日)か、プラセボを84日間与えたところ、総コレステロールおよびLDLコレステロール値がそれぞれ13%、23%改善したことが分かったという。

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