【 2011/2 】

大豆に魚、70年代の日本食が理想

2月12日、朝日新聞主催の「健康・医療フォーラム」が開催された。分科会テーマ「食べるを守る―味わう楽しみを続けるには」の中で、伏木亨氏(食と栄養を研究)が講演し、1977年にアメリカで公表された栄養問題特別委員会のマクガバン報告を引き合いに出し、70年代の日本食が理想に近いとした。

アメリカでは70年代に、心臓病やガンが増え、医療費が増大したことから、ジョージ・マクガバンを委員長に、食事と健康の世界的な調査を2年ほどかけて行った。報告書は5000ページにもおよび、ビタミン・ミネラルの摂取不足や糖尿病や動脈硬化などの疾患が食生活と密接に関係していることを指摘、食事の栄養成分と健康との関わりを明らかにした。

この報告の中で、穀類中心に大豆や魚といった日本の伝統食は健康管理に有益であるとされているが、伏木氏は、現在の日本人はこうした70年代の日本の食事を放棄しつつあるのではないか、と警鐘を鳴らしている。

日本食の健康効果は世界的にも注目されているが、さらに理想をいえば、塩分をもう少し控えることであろうか。管理栄養士の中東教江氏は、日本人の塩分摂取が多い原因の一つに漬物があるとし、あと3グラム弱塩分を減らすといいと指摘。野菜など具だくさんにすることで、ビタミンやミネラル、食物繊維も摂れるとしている。

1月31日、米国では、2010年度版栄養ガイドラインが発表された。5年毎に改定される、アメリカ人の健康のための栄養管理の指針で、今回はとくに、長年の懸案である「肥満」対策に多くを割いている。この中で、健康管理のための理想食として挙げられているのがやはり日本食や地中海食。また、低塩分食やベジタリアン・ビーガン食も高血圧症などの改善に良いとしている。

世界でも有数の長寿国として知られる日本。伝統食材である、穀類や大豆、そして魚といった食材の機能性成分の健康効果についても研究が盛んだ。
最近の報告では、大豆イソフラボンは血圧改善に有用であるという記事が、Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases誌11/02月号に掲載されている。Union Medical Collegeなどの研究者グループによるもので、11の研究からイソフラボンの血圧に対する有効性を分析した。


結果、大豆プロテインとともに大豆イソフラボン(65〜153mg/日)を1〜12カ月間摂取すると、プラセボ群と比べ、収縮期圧を2.5mmHg、拡張期圧を1.5mmHg下げることが分かったという。

また、サケやイクラ、エビ、カニなど海産物に多く含まれる赤いカロチノイド色素のアスタキサンチンが認知症予防に役立つということが、British Journal of Nutrition誌11/02月号で報じられている。

日本の東北大学研究者グループが、50歳から69歳の健常被験者30人を対象に、アスタキサンチンを6mg、12mg/日か、プラセボを12週間与え、認知症患者の赤血球に以上に蓄積すると考えられるリン脂質ヒドロペルオキシド濃度を測定したところ、リン脂質ヒドロペルオキシド濃度がアスタキサンチン投与群の6mg群では40%、12mg投与群は50%減少したことが分かったという。

Copyright(C)2011 JAFRA. All rights reserved.|HOME >