【 2011/4 】

植物ステロール、コレステロールを改善

福島原発事故による放射性物質の飛散により野菜のリスクが懸念されたが、次第に出荷制限も解除されつつある。野菜に含まれるカロチノイドなどの機能性成分はがんをはじめとしたさまざまな疾患予防に有用であることがこれまでに報告されている。

2011年4月25日(月)、アキバホール(東京都)で、東京都立食品技術センター設立20周年記念講演会が開催。藤田 智氏(恵泉女学園大学人間社会学部人間環境学科教授)が「野菜で元気!!健康な食生活と伝統野菜」と題して講演した。

この中で、「近年の食への不信から、自分で野菜を栽培する人が増えている。野菜の優れた栄養や機能性成分に人々の関心が集まっている」と藤田智氏。野菜に含まれるカロテンなどの抗酸化成分をがん予防や生活習慣病対策で積極的に摂取しようとする人々が増えているという。

野菜の機能性成分については、今年1月30日に公表された「2010年版アメリカ人の栄養ガイドライン」でも、健康管理の目玉となっている。米国の悩みの種といえば肥満。肥満から糖尿病や高血圧、動脈硬化といったメタボリックシンドロームへと繋がる。米農務省が推奨しているのが1日のカロリー摂取量を1000カロリーから3200カロリーまでとし、野菜、果物、穀物、乳製品、蛋白質の5品目を1日に必ず摂るというベジタリアン食。肥満防止や心臓病リスクの軽減に効果があるとしている。

植物栄養素に関する最新の報告では、野菜や豆類などに含まれるフィトステロール(植物ステロール)を欧米型食生活に加えるとコレステロールの改善に役立つということが、Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases誌2011.2月号に掲載されている。

University of Athens研究者グループが、30歳から65歳で平均BMIが29の代謝症候群患者108人を、ドリンクヨーグルトにフィトステロールを加えた(4g/日)群と加えない群に分けた。被験者は全員、2カ月間通常の食事を続けた。


結果、フィトステロール投与群は非投与群と比べ、LDLコレステロールが20%、総コレステロールが16%、トリグリセリドが19%低下したことが分かったという。

また、アントシアニン色素はパーキンソン病予防に有用であるということが、4月開催のAmerican Academy of Neurology学会で発表された。
Harvard School of Public Health研究者グループが、男性50,000人、女性80,000人が参加したHealth Professional Follow-up Study、Nurses' Health Studyを基に、お茶、ベリー類などに含まれるフラボノイドの摂取とパーキンソン病罹患との関連性を調べた。
結果、男性群において、フラボノイドの最高摂取群は最低摂取群に比べ、パーキンソン病罹患リスクは最大40%低くなることが分かったという。

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