【 2011/6 】

プロバイオティクス、腸の健康や免疫力向上に貢献

5月30日、東京で、「第11回 21世紀の食と健康フォーラム 今日からできる健“腸”長寿〜世界が注目する感染症予防」が開催された。この中で、伊藤喜久治教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)が、「腸内細菌の健康へのかかわり」と題して講演した。

腸内には数100種類、約100兆個の細菌が棲息している。こうした腸内細菌叢(フローラ)はビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌やウイルッシュ菌のような悪玉菌のバランスにより、健康状態や免疫力が大きく左右されることが明らかとなっている。

伊藤氏は、 腸内細菌のバランスが良い状態にある時は、O-157やO-111といった腸管出血性大腸菌の感染が起こりにくいことを指摘。腸内にビフィズス菌や乳酸菌が少ない子供はアレルギーになりやすいことなど言及した。

また、竹田美文教授(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)は「腸管感染症とプロバイオティクス」と題して講演。インドのコルカタで1〜5歳の乳幼児約3,600人を対象に、プロバイオティクスを含む飲料を1802人、含まない飲料を1783人に12週間毎日飲んでもらい、その後12週間経過した調査結果を報告した。

結果、プロバイオティクスを摂取した子供は下痢にかかる率が14%低く、12週間後も効果が持続していることが判明。プロバイオティクスによる腸管の免疫強化によるものと竹田氏は報告した。

また、落語家の三遊亭円楽さん、女優の仁科亜希子さんら、タレントの松本明子さんらを交え、「感染症から家族を守るために」と題してパネルディスカッションが行われた。円楽師匠や仁科さんは「笑い」が免疫力を高めることを強調した。

最近の報告では、乳酸菌はノロウイルスによる発熱症状の緩和に役立つことが報告されている。British Journal of Nutrition誌11/5月号に掲載された記事によると、Juntendo UniversityおよびYakult Central Institute研究者グループが、介護施設に入居する虚弱高齢者77例(平均年齢84歳)の半数(39例)にラクトバチルス・カゼイ・シロタ株の発酵乳を持続して与え、残り38例は非投与とした。


冬季における投与1カ月では、ノロウイルス胃腸炎発症率に有意差は見られなかったが、胃腸炎発症後の発熱(37℃以上)期間に、投与群は平均1-5日、非投与群は2-9日で、投与群の方が有意に短かったことが認められたという。

また、プロバイオティクスは大腸疾患患者の症状軽減に有望であることも報告されている。Journal of Clinical Gastroenterology誌11/5月号に掲載された記事によると、University of North Carolina研究者グループが、平均年齢37歳の便秘症状のない機能性腸疾患患者60例(72%が女性)を対象に、ラクトバチルス・アシドフィラスNCFM(L-NCFM)菌とビフィドバクテリウム・ラクティス菌Bi-07を用いた試験を行った。
被験者には、L-NCFMおよびBi-07を2000億cfu/日か、プラセボのどちらかを8週間継続して与えた。結果、被験者の自己評価で、プロバイオティクス投与群では腹部膨満感が15%減少したことが分かったという。

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