【 2011/7 】

葉酸、乳がん予防や大腸の健康維持に貢献

ビタミンEや葉酸(ビタミンB群)に関する研究報告が相次いでいる。最近の有用性報告から幾つか紹介しよう。
まず、Nutrition & Metabolism誌11/7月号で、トコトリエノール(ビタミンE)は健常体被験者のコレステロール値改善に有用であることを報じている。 Universiti Kebangsaan研究者グループが、50歳以上の健常体被験者62例に、高トコトリエノール含有のパームオイル(トコトリエノール160mg/日相当)かプラセボのどちらかを6カ月間投与し、コレステロール値を測定した。

結果、トコトリエノール投与群では最初の3カ月間で、HDLコレステロール値が増加したことが分かった。これは、心血管系疾患リスクが14%減少したことになる。プラセボ群では5%の減少となった。また、トコトリエノール投与群では、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼといった抗酸化酵素が活性化したという。

また、American Journal of Epidemiology誌11/7月号では、ビタミンEが筋委縮性側索硬化症(ALS)予防に役立つと報じている。

Harvard School of Public Health研究者グループが、ビタミンE摂取とALSとの関連性を探るため、Nurses' Health Study(1976〜2004年)、Health Professionals Follow-up Study(1986〜2004)、Cancer Prevention Study II Nutrition Cohort(1992〜2004)、Multiethnic Cohort Study(1993〜2005)、National Institutes of Health-AARP Diet and Health Study(1995〜2005)のデータを分析。結果、ビタミンEサプリメント使用継続期間との関連性では、使用期間が長くなるほどALS有病率は低下することが分かったという。

また、ビタミンB群の葉酸が閉経前女性の乳がん予防に有用であることが、American Journal of Epidemiology誌11/7月号に掲載されている。 Vanderbilt UniversityおよびShanghai Cancer Institute研究者グループが、Shanghai Women's Health Study(1997〜2008年)に参加した40歳から70歳の72,861人のデータを分析、葉酸、ナイアシン(ビタミンB3)、B6、B12と乳癌発症との関連性を調べた。


結果、閉経前および後の女性で、ビタミンB6とB12摂取と乳癌リスクとの間に関連性は認められなかったが、閉経前女性に対して葉酸のみが乳癌リスクを低下したことが分かったという。

この他、葉酸が大腸の健康維持に役立つことが、Clinical Nutrition誌11/6月号に掲載されている。Nippon Medical School研究者グループが、日本人男性258例、同女性200例から血液サンプルを採取し、大腸腺腫(良性)の有無で葉酸値を比較。結果、大腸腺腫リスク低下をもたらすには、血中の葉酸値が少なくとも8.0ng/ml必要であるとの結論に達したという。

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