【 2011/9 】

ポリフェノール、コレステロール低下や炎症予防に有用

2011年9月7日(水)、芝浦工業大学で、技術懇親会「健康・医療・福祉のための研究技術開発最前線」が開催。越阪部氏(芝浦工業大学 システム理工学部 生命科学科)が、「ポリフェノールの生活習慣病予防作用」と題して最新の研究発表を行った。

ポリフェノール(フェノール性水酸基)類には、アントシアニン、フラボノール、イソフラボン、カテキンなどがある。ほとんどの植物には日光の紫外線から自らを守るためフラボノイドという形で入っている。食品では、赤ワイン、アメリカンチェリー、チョコレート、緑茶(お茶)などに多く含まれる。

ポリフェノールの効用については、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値を上げることが分かっているが、メカニズムについては不明な点が多いという。

最近の報告では、ココアのポリフェノールが炎症予防に有用であることが、Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases誌11/8月号に掲載されている。
University of Barcelona研究者グループが、19歳から49歳の健常被験者18人を無作為に3グループに分け、1)ココアパウダー40g(フラバノール62.1mg、フラボノール3.2mg)/日+ミルク、2)ココアパウダー40g+水、3)ミルクのみ、をそれぞれ与えた。

3週間後、炎症の指標である被験者のNF-kappa B血中濃度を調べたところ、2)は1)と比べ、NF-kappa Bが有意に減少。また、3)は、有意に増加していたという。

また、ココア粉とスキムミルクの併用摂取はコレステロール値の改善に有用であることが、Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases誌11/6月号に掲載されている。
University of Barcelona研究者グループが、平均年齢70歳の被験者42例に、ココアパウダー40gを添加した、あるいは添加しないスキムミルク500ml/日を4週間与えた。ココアパウダー40gは、ポリフェノール495.2mgとプロアントシアニジン425.7mgの摂取に相当する。

結果、ココアパウダー入りスキムミルク群は、非添加群に比べ、HDLコレステロール値が5%増大したことが判明した。また、酸化LDLコレステロール値が、添加群で14%減少したことも認められたという。


他にも、フラボノイドが抗炎症に有用であることが、Journal of Nutrition誌11/4月号に掲載されている。
Swedish University of Agricultural Sciencesらの研究者グループが、Nurses' Health Studyコホート(女性被験者1,200〜1,600人)のデータを分析。食品頻度調査を用いて、フラボン、フラボノール、フラバノン、フラバン-3-オール類、アントシアニジン、ポリメリック・フラボノイドの6つに関して摂取量を測定し、血液サンプルから炎症マーカーであるIL-6、IL-18を計測した。

結果、フラボンおよびフラバノンの最多摂取群は最小摂取群に比べて、IL-18がそれぞれ、9%、11%低下することが分かったという。

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