【 2012/1 】

妊娠中のビタミンB摂取、乳児のアレルギーリスクを低下

日本におけるアレルギー疾患人口は、全人口の2人に1人と推定されている。最も多いのが、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)で5000万人以上、以下、アトピー性皮膚炎が約1200万、気管支喘息で約800万人と続く。

食物アレルギーについては、日本保育園保健協議会による平成21年度の全国調査(953施設、105,853人を対象)では、有病率が約4.9%。内訳は、0歳が7.7%、1歳が9.2%と乳幼児の罹患が圧倒的に多く、5歳児では2.5%と年齢とともに次第に減少していく。

この食物アレルギーに、「経口免疫療法」という治療法がある。しかしながら、これを厚労省研究班が調査・分析したところ、改善されたとする患者は1〜5割で、中には重篤な副作用を生じるケースもあるという。

1月24日付けの朝日新聞では、厚労省研究班の調査結果により、「経口免疫療法」についての診療指針を改定し、「現時点で一般診療として推奨しない」とする方針を打ち出したと報じている。

記事によると、「経口免疫療法」を49の施設が実施しているが、同研究班は卵や牛乳などで食物アレルギーを発症する子供179人について、国立病院機構相模原病院での事例を分析したという。

調査では、鶏卵1個、牛乳200ミリリットル、うどん200gを3カ月取り続けてもアレルギー症状が出なかった患者に、2週間の休止後、食物をもう一度摂取して症状が出ないかを確認した。その結果、治療開始後1年の時点で、7〜8割の患者は症状が出ず、卵で38%、牛乳で10%、小麦で50%が、「治った」と診断された。しかし、3〜5割が重い副作用を経験していたという。

アレルギーに関する最新の研究報告では、妊娠中のビタミンB摂取が乳児のアレルギーリスクの低下に役立つと、Allergy誌12年1月号で報じている。University of Australia研究者グループが、妊娠後期の女性628例を対象に、血液サンプルを採取し栄養素状態を測定、また、食品頻度調査も行った。

乳児の追跡調査を1年間行い、484例のデータを収集した結果、乳児の血中ビタミンB濃度が50〜75ナノモール/Lでは、アレルギー感作が最も少なかったことが分かったという。


また、プロバイオティクスが皮膚疾患予防に有益であることが、2010年6月、New York Academy of Sciencesシンポジウムで発表されている。 Department of Pediatrics、Lviv National Medical University研究者グループが、1〜3歳の幼児90例を、プロビオティクス投与群(DDS-1乳酸菌+フラクトオリゴ糖を含むビフィズス菌UABLA-12、計10bn CFU/g)またはプラセボ群に割り当て、4週間の経過観察後、アトピー性皮膚炎を評価するSCORAD指数で査定したところ、両群とも改善が見られたという。8週間後の評価では、SCORADスコアの低下率はプロバイオティクス群で34%、プラセボ群は19%だったという。

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