【 2012/6 】

ビタミンB群、脳卒中を予防

6月26日付けの朝日新聞によると、東京都では2006年にディーゼル車の規制を強化したが、これにより東京都区部で脳卒中の死亡率が8.5%減ったという。研究では、岡山大の頼藤貴志准教授(環境疫学)らが排気ガスなどから生じるPM2.5(スギ花粉の10分の1程度のごく小さな粒子)という大気汚染物質に着目。脳卒中の死亡率の低下は、このPM2.5の濃度低下が関係しているとみている。

研究では、2006年4月の前後33カ月に渡り、PM2.5濃度と脳卒中死者数を1日ごとに調べて比較した。結果、脳卒中による死者は規制強化前33カ月間は2万460人だったが、強化後33カ月間は1万9728人で、脳卒中による死者は規制強化で8.5%低下したことが推計されたという。

脳卒中は、脳の血管が詰まる脳梗塞と破損する脳出血とがある。厚生労働省の調査によると、トップのがん、第2位の心疾患に続いて、死亡原因の第3位。総患者数は137万人で、年間で13万人が死亡しているといわれる。

脳卒中予防に関する最近の報告では、ビタミンB群が脳卒中予防に有用であると、Clinical Nutrition誌12.6号が報じている。 Zhejiang University(中国)、National Health Research Institute(台湾)、Monash University(オーストラリア)研究者グループが、過去の無作為化臨床試験19件からのデータのメタ分析を行った。19件には総勢47,921人の被験者が参加している。

結果、ビタミンB群摂取はプラセボに比べ、血中ホモシステイン値が有意に低下し、脳卒中リスクが12%減少することが分かったという。

また、Stroke誌11.12号が食品からの抗酸化剤摂取は卒中予防に役立つと報じている。Karolinska Institutet研究者グループが、49〜83歳で心血管系疾患(CVD)の病歴が無い女性31,000人と既往歴のある女性5,000人以上の医療データおよび全抗酸化剤を分析した。結果、CVD歴が無く食品抗酸化剤の最高摂取群では、最低摂取群と比べ、全卒中リスクが17%低くなることが分かったという。


この他、血管の健康維持について、赤ワインのポリフェノールが役立つと、Biochemical and Biophysical Research Communications誌11.2月号が報じている。 University of Strasbourg研究者グループが、オスのWistarラットを4群に分け、(1)3%エタノール、(2)3%エタノールに赤ワインポリフェノール25mg/kg/日を添加、(3)3%エタノールに赤ワインポリフェノール75mgを添加、(4)3%エタノールにNADPHオキシダーゼ+アポシニン100mg/kg/日添加を、それぞれに与えた。
結果、ポリフェノール群およびアポシニン群は双方とも、血管内皮における加齢誘導血管酸化ストレスが有意に低下したことが分かった。さらに、ポリフェノール多量投与群のみ、耐久力の衰えが鈍化したという。

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