9月8日、お茶の水スクエアC館(東京都)で「第3回 21世紀 食と健康フォーラム」(主催:日本未病システム学会)が開催された。基調講演で福生 吉裕氏(日本医科大学第二内科 助教授)が「ヒポクラテス・プラス 21世紀の誓い」と題して講演した。特別講演では、近藤 和雄氏(お茶の水女子大学生活環境研究センター教授)が「高齢社会における機能性食品の役割」と題して講演。シンポジウムでは5つの健康素材が取り上げられ、機能性についての報告が行われた。
21世紀の医療は、医療側の医療から生活者主体の参加型医療へ
講演の中で、福生氏は、21世紀の医療について「医療側の医療から生活者主体の参加型医療へと変わっていく。医師に全面的に頼るのではなく、自身で守れるものは守るという自立の姿勢が必要」と述べ、そうした認識により「健全な高齢化社会が形成される」と説いた。
また、西洋医学の開祖として知られるヒポクラテスが、医師の論理として説いた「ヒポクラテスの誓い」を解説し、これに21世紀的な心得を盛り込んだ新バージョンを紹介。「食品についてはその内容を知り、自分にあっているかを吟味する」「適切な運動を行い、生活習慣病にならないようにする」「未病の状態でくいとめ、病気にならないようにする」など、疾病を未然に防ぐための信条を掲げた。
特別講演では、近藤氏が、高脂血症を中心に生活習慣病に対する機能性食品の役割を紹介。とくに生活習慣病に関連するとされるコレステロールについて、「LDL(悪玉)コレステロールそのものが動脈硬化を引き起こすのではなく、酸化変性したLDLが問題」とし、動脈硬化予防のためには、LDLの量を増加させないとともに、LDLを酸化変性LDLにしないことが重要である、と説いた。
近藤氏は、こうした酸化変性を防ぐ抗酸化物質として、ビタミンE、ユビキノール、カロチノイド(β-カロチン、リコペン)、ビタミンC、尿酸、アルブミン、ポリフェノールなどを挙げた。また、ここ数年、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用がクローズアップされたが、これに続く代表的なポリフェノールとして、カテキン、ケルセチン、イソフラボン、カロチノイドのアスタキサンチンなども挙げた。
5つの健康素材の有用性についての評価
また、シンポジウム『あなたが選ぶ、機能性食品の科学的検証』では、以下の5つの健康素材が取り上げられ、機能性についての報告が行われた。
- 「がんと共生しようータヒボ茶の抗癌作用」
(宮城県立がんセンター研究所免疫学部長 海老名卓三郎)
- 「桑葉エキス入りプロポリス(桑ポリス)の肥満、糖尿病予防効果について」
(昭和薬科大学病態化学研究室講師 小野寺 敏)
- 「海苔由来ペプチドの血圧に対する影響」
(東京慈恵会医科大学臨床薬理学講座第1講師 中道 昇)
- 「チャガ(シベリア霊芝)の腫瘍細胞増殖抑制作用及びヒスタミン遊離抑制作用に関する実験」
(日本中医薬研究会講師、広島大学大学院医学系研究科博士課程 陳 志清)
- 「フランス海岸松樹皮エキス投与による、原発性月経困難症・子宮内膜症の改善について」
(恵寿総合病院産院院長 小濱 文隆)
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