代替医療から統合医療へ、世界で医療統合化の動き

6月24日に、早稲田大学国際会議場(東京都新宿区)で「第1回日本統合医療学会(JIM)」大会が開催された。この中で、渥美和彦JIM代表は、5月に開催されたハーバード及びスタンフォード大学の合同シンポジウムでの世界のCAM(相補・代替医療(※注1))の現況についての最新情報を報告した。

米国では通常(西洋)医療の医師の60%がCAMを推薦

講演の中で、渥美氏は、「最近は、西洋医療とCAMが統合され、患者を中心としたテーラーメディスン(個人に合わせた医療)の構築が、世界的な潮流になりつつある」と、世界のCAMの現況を述べ、米国ではNIH(米国国立衛生研究所)などの政府機関の後押しもあり、医療現場へのCAMへの導入が進んでおり、医療費の削減につながっていることを報告。

現在、米国では通常(西洋)医療の医師の60%がCAMを推薦しており、47%の医師がCAMを使用しているという。また、米国の4分の3以上の大学でCAMの講座が受けられ、現実に、国民の半分以上がCAMを利用しているという。 一方、日本では医療経済の破綻が懸念されるにもかかわらず、依然CAMの医療現場への導入が遅々としていることを指摘。また、「食事(栄養)療法はCAMの骨格である」(同)とし、「日本は食事が欧米化し、生活習慣病がどんどん増え、不健康が進んでいる」(同)中で、早急なライフスタイルの改善が必要であると説いた。

ハーブ・サプリメント人気も、不十分なガイドライン指摘

食事(栄養)療法というと日米とも栄養補助食品を利用したものがポピュラーだが、米国では90年代後半以降、CAMブームと相まってハーブ・サプリメントの売上げが毎年2ケタ台の伸びを示した。とくに、米国で人気のあるハーブ・サプリメントは、イチョウ葉、セント・ジョンズ・ワート、ジンセン(朝鮮人参)、ガーリック、エキナセア、ノコギリヤシ、カバカバ、大豆製品など(Drug Store News,2000年5月)。 ただ、問題点も浮上しており、昨年4月、天然の抗鬱剤として米国で人気の高かったセント・ジョンズ・ワートが医薬品との相互作用を指摘され、これが引き金となって、以降米国の栄養補助食品市場の低迷を招いた。

こうした点について、渥美氏は、「米国ではハーブや栄養補助食品の基準がなく、安全性と毒性がまだクリアーになっていない。これを取り扱う人々の資格認定制度もできていない。医者がハーブを勧める時のガイドラインも十分ではないという指摘もある。外科手術などの際のハーブや栄養補助食品の使用のアドバイスについてもまだ十分な政府の見解がない」などの問題点が挙がっていることを指摘した。

(※注1)CAM(Complymentary and Medicine):相補・代替医療の意。一般的に西洋医療以外の医療を指す。カイロプラクティック、漢方、アーユルヴェーダ、心理療法、イメージ療法、気功、栄養療法、アロマテラピーなどの伝統・伝承医療医療。)


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