「未病」のために、機能性健康食品を活用する必要性

6月24日、日本教育会館第一会議室(東京都千代田区)で、「21世紀 食と健康フォーラム」(主催:日本未病システム学会)が開催された。高齢少子化時代を迎え、国民皆保険制度の維持が危ぶまれているが、同会では「未病」概念の導入により、医療費の軽減を図ることを提唱している。当日は、具体論として、機能性健康食品の活用について紹介した。

セルフプリベンション(自己管理)によりもたらされる医療費軽減

現在、医療従事者をはじめとする約400名の会員を擁する同会は、5年前に設立し、「病気ではないが、全く健康でもない」とする「未病」期間の設定の必要性を提唱。セルフプリベンション(自己管理)によりもたらされる医療費軽減のシステム化を研究対象としてきた。

当日は、同会の活動の一環として掲げる「機能性健康食品(未病食)の検証と啓蒙」についての講演が行われた。午前中に「長寿と栄養--食品成分による老化制御」(板倉弘重氏:国立健康・栄養研究所名誉研究員)、「これからは未病の時代、非病非健の思想」(福生吉裕氏:日本医科大第二内科助教授)による講演が行われた。

この中で、板倉氏は、玉ネギやりんごなどフラボノイド含有の多い食品による脳卒中のリスク軽減、延命効果などの有用性を挙げた。また、福生氏は、「食は健康の源である」とし、科学的な根拠のある健康食品を明確にしていきたいとの意向を示した。

イチョウ葉、ウコンなど機能性を報告

午後にシンポジウム「機能性食品の科学的検証」が行われ以下の5題の発表が行われた。

  1. 「葉酸の神経管欠損症予防効果およびその他の効果」 (住吉好雄:須美代氏横浜市立大学医学部客員教授)
  2. 「発酵ウコンとその機能特性」 (本郷富士彌:琉球大学農学部教授)
  3. 「経口糖尿病薬とワタナベ活性型オイスターの併用効果について」 (渡辺貢:渡辺オイスター研究所主任研究員)
  4. 「イチョウ葉の神経細胞に及ぼす効果」 (植松大輔:植松神経内科クリニック院長)
  5. 「β-1、3-D-グルカンの免疫強化作用とその臨床応用」 (上野紘郁:あさひ医王クリニック院長)

近年、高齢者人口の増加に伴い、アルツハイマー病の発症が大きな社会問題となることが予測されている。

これに対し、既に欧州各国ではイチョウ葉が脳循環代謝改善薬として高い評価を得ているが、植松院長は10名の脳血管障害後遺症の患者にイチョウ葉エキス(GBE-24/山之内サンウエル)240mg/日を4週間投与した試験について報告。「自覚症状では頭重感、めまい、頭鳴りなどに有用であり、神経症状として自発性低下・不安・抑鬱などにも有用性がみられた。全体として約7割の患者に何らかの臨床的な改善がみられた」とした。


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