信頼されるサプリメントの開発・臨床治験により、統合医療めざす

2004年10月27日(水)、「医師がサプリメントを必要と考える状況とは? 一般消費者との違い」をテーマに、EBM for Natural Products 推進協議会による第5回セミナーが開催。健康・医療従事者らが多数参加し、医療現場におけるサプリメント活用の実態、有効性の検証などについて論じた。

「検証の時代、ネガティブデータも明らかに」(久保氏)

同協議会は、健康・医療従事者らを中心に2001年3月に設立。一般生活者や健康・医療従事者らに、医学的根拠(EMB)のある健康補助食品・サプリメントの情報提供を行うことを主な目的としている。

当日、サプリメントの有効性や実際の活用状況などについて企業3社が報告、その後、同協議会の医師らが医療現場からの提言を行った。 その中で、久保明氏(高輪メディカルクリニック院長)は、医療現場で用いるサプリメントについて、「メディカルサプリメントについての定義はまだ定まっていないが、使った、効いたという時代はもう終わり。検証の時代に突入した。データをとらないとものが言えない時代」と述べ、単に総コレステロールの計測だけでなく、酸化DNAなど多方面からのサプリメントの検証の必要性を説いた。
さらに、「使用者、メーカー、ドクター、厚生労働省の4者の健康コミュニケーションがカギになる。ドクターとしてはネガティブデータも明らかにすべき。身体はもともと矛盾を持っているもの。その複合体にどこまで近づけるか、健康開発に寄与したい」と、今後のあり方について述べた。

また、福田一典氏(銀座東京クリニック院長)は、「標準治療から見放された状態で代替医療を依頼された場合、有効性と安全性のデータがないもの(サプリメント)は医師としては使いにくい」と述べ、医薬品とサプリメントとの相互作用などについても言及。「がん治療中のサプリメントは医師の指導のもとに使用すべきである」ことを強調した。

「がんに使われるサプリメントは最低限、QC(クオリティコントロール)が必要」(丁会長)

星野泰三氏(統合医療ビレッジ理事長)も同様、医療現場でのサプリメント使用について、「医師は患者さんに対して責任を持つ義務がある。副作用があった場合、それをきちんと管理、処理しないと、医師法に抵触する。統合医療というのは、代替医療、自然療法を中心にしたものということではない。サプリメントだけを使うのが統合医療ではない。統合医療的にサプリメントを出す場合は、大学病院などでその患者さんの状態をきちんと診断してもらっている。西洋医学的なスクリーニングが必要」と述べた。

実際の現場でのサプリメントの使用例についても挙げ、卵巣癌の患者で抗がん剤の副作用により手足のしびれがおきたが、抗がん剤終了後から抗酸化系のサプリメントを投与したところ、症状が改善されたケースがあったと報告。

後半のディスカッションでは、ドクターズサプリメントを使用する医師側の責任として、「患者さん側から言ってこない限り出さない。こちらから勧めるということは基本的にやっていない。ドクターズサプリメントというのは医師が責任を持って出すもの」(川嶋朗氏 東京女子医科大学付属青山女性・自然医療研究所自然医療部門)、「抗がん剤の副作用対策ということではかなり有効ではないかと思う」(星野氏)などの発言やドクターズサプリメントをめぐる現行の行政のあり方などが論議された。

セミナーの最後に、同協議会の丁会長は、「がんに使われるようなサプリメントについては最低限、QC(クオリティコントロール)が行われていること、どういう起源植物を、どういう規格のもとに使っているのかということをはっきりさせ、最終的にはどういう確認試験を行っているのかということを示さなければいけない。その次に安全性試験」と述べ、「こうしたデータなしに一足飛びにがんの患者さんにサプリメントを適用するということはいかがなことかと思う」と結んだ。


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