免疫調整物質バイオブラン(MGN-3)
基礎・臨床でさらなる成果

3月14日(日)、コクヨホールで(東京都品川区)で、「International Workshop バイオブラン研究会 2004年大会」が開催された。今大会では、「食品による生体防衛の調節〜がん休眠療法と食品機能の接点を求めて」をテーマに国内外の病医院の医師らによるバイオブランの基礎・臨床研究が報告された。

薬物性肝障害の発症抑制など、バイオブランの最新研究を報告

バイオブラン研究会は、「バイオブラン(MGN−3)」のエビデンス(医学的根拠)の蓄積に務めることを目的に6年前に発足。国内外の病医院の医師をはじめとする有識者らが参加し、基礎・臨床試験の研究成果の発表・討議を行ってきた。

※バイオブラン(MGN−3):米ぬかの水溶性食物繊維にシイタケ菌から分離した炭水化物分解酵素を作用させ、生物学的に修飾したアラビノキシラン誘導体が主成分の免疫調整物質

午前の部では、バイオブランの基礎研究発表が下記の通り行われた。

  1. 「免疫調節に関わる成分の化学構造」(弘前大学医学部保健学科 三浦 富智)
  2. 「異型細胞増殖抑制等に関わる成分」(千葉大学園芸学部生物化学研究室 政田 正弘)
  3. 「薬物に対する肝庇護作用と作用特性」(千葉大学園芸学部生物生産科学科食品栄養学研究室 真田 宏夫)
  4. 「抗癌剤抵抗性と作用特性」(浜松医科大学第一病理非常勤講師 遠藤 雄三)

政田氏は、バイオブランの特にがん細胞の増殖抑制を示す成分について発表。培養癌細胞株を用いた実験で、「バイオブラン水溶液において、癌細胞に対する増殖抑制作用は添加量に依存しており、さらに高濃度では細胞の死滅を引き起こしているような結果が得られた」と報告した。 真田氏は、ラットを用いたアセトアミノフェンによる薬物性肝障害の測定を発表。ラットを18時間絶食させた後にアセトアミノフェン(700mg/kg)を腹腔内に投与すると24時間後に血清AST、M活性が上昇し、肝障害が生じるが、「アセトアミノフェン投与の1時間前にMGN−3を腹腔内(40mg/kg)あるいは経口(120mg/kg)投与するとどちらの場合も肝障害の発症が抑制された」と報告した。

遠藤氏は、現在開発・承認されている抗癌剤の有効率については30%が期待されているに過ぎないと、抗癌剤治療の現状を指摘。副作用の問題に関して、「バイオブランには抗癌剤の副作用の軽減効果が認められる」と言及した。またバイオブランの抗炎症作用は、発癌のプロモーターである慢性炎症の予防に重要な役割を果たすとした。

バイオブランをはじめとする機能性食品を用いた統合医療で成果

午後の部では、金沢大学がん研究所の高橋豊氏が、「癌治療の新戦略、Tumordormancytherapy(がん休眠療法)」と題して講演。現在の抗癌剤治療は、「より多くの抗癌剤投与で少しでもがん小さくする」という発想のため、最大耐用量(MTD)が投与量の基準となっていることを報告した。MTD治療については、「厳しい副作用の割には、効果が小さい」と指摘し、がんの縮小ではなく、がんの増殖抑制を目指すべきであると強調。「継続」と「個人差」を考慮に入れた抗癌剤の最大継続可能量で、個々に投与量を設定する治療法が望ましいと提案した。

その後、バイオブランの臨床研究発表が下記の通り行われた。

  1. 「前立腺癌に対するフィトセラピー---希望か、現実か?」(Ben L.Pfeifer,M.D., Ph.D. Aeskulap Cancer Center臨床研究教授 兼 所長 スイス)
  2. 「進行癌(ステージW)に対する統合医療の有効性」(恒川消化器クリニック・東海ホリスティック医学振興会 恒川 洋)
  3. 「高齢者におけるバイオブランの感冒抵抗作用について」(濁協医科大学法医学教室 大村 和伸)
  4. 「進行癌に対するデュアルアタック療法」(銀座サンエスペロ大森クリニック 大森 隆史)


Ben L.Pfeifer氏は、「欧州では前立腺癌に対して、栄養補助食品のプロスタゾル、レンチンプラス及びクルクミン・コンプレックスを組み合わせた、新たなフイトセラピーが一般的になってきている」とし、これら併用療法の、ホルモン治療抵抗性前立腺癌における有効性を報告した。

恒川氏は、日頃より西洋医学的に治療困難とされる進行癌患者に、標準的な治療に加えホリスティックな補完・代替医療や機能性食品を組み合わせた「統合医療」を行っているが、ステージWの各種進行癌患者20名に対し、標準治療と並行して漢方服用、ビタミンC大量点滴などにバイオブランを加えた免疫活性化療法と食・体・心の養生法を行った治験を発表。20名中18名(90%)にNK活性の上昇、16名(80%)に腫瘍マーカーの低下、QOLの向上が認められたことを報告した。

大村氏は、自己免疫能の衰えた高齢者50人を対象に、MGN−3の経口摂取におけるかぜ症候群に及ぼす影響について6週間ダブルブラインド試験を行った。結果、かぜ症候群の罹患自体を防ぐことはできないが、「高齢者におけるMGN−3の予防的摂取で、かぜ症候群の症状の悪化抑制と罹患期間の短縮が認められた」と報告した。

大森氏は、補完・代替療法による、免疫療法、血管新生抑制療法、アポトーシス誘導療法の三大治療法を考案・実践しており、今回、免疫療法でバイオブラン、血管新生抑制療法でサメ脂質抽出物を用いた治験例を発表。

乳癌の52歳の女性で、左乳房の腫瘤が胸部の皮膚を侵食し、炎痘性の細胞が外部に露出していたが、免疫療法と血管新生抑制療法を基本とした治療で1ケ月を過ぎた頃から、外部露出した乳癌組織が縮小を始めたことを報告。
その後、壊死をし始めた癌細胞からの出血が増加し、貧血症状が強くなったために、外科的手術を行ったが安定した状態を保ったという。


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