健康・医療関連企業に医療用サプリメント開発のポイントを指摘

2005年4月22日(金)、ホテル聚楽(御茶ノ水)で薬業健康食品研究会の「平成17年度定時総会」が開催された。総会後、シンポジウムが行われ、丹羽正幸氏(丹羽クリニッ ク院長)が「代替医療で治療効果〜健康食品等の併用例」、横山博美氏(医新会 理事長)が「薬系に望む、医療用サプリメントの開発のポイント」と題して、それぞれ講演した。

医師が患者に与えるサプリメント、効能の3割はプラシーボ

近年、疾患者が薬剤に加え、サプリメントを併用するケースが増えている。医師や薬剤士もサプリメントについての十分な知識が必要とされる。一方で、医療サイドではEBM(科学的根拠)に基づいたサプリメントを、医療用サプリ、ドクターズサプリと称し、効能を期待する向きもある。

横山氏は、医療用サプリの開発に当たって、「医療という観点から開発に入ること。すでに出来上がったサプリメントについても、それが本当に身体にいいものかどうか、常に臨床データを追求すること」の2点を挙げ、これがないと病院や調剤薬局に置くことは難しいと説いた。

というのも、「医者や薬剤師が与えたサプリメントだと、飲む人の3割にプラシーボ効果がある」ため。「少なくとも6,7割方効かなければだめ。作用機序がしっかりしていて飲んだ人が健康を実感できるものを」と強調した。

さらに、消費者のサプリメント購入ついて、「サプリメントを何で知ったかという調査で、4,5割が広告、あるいは本、健康雑誌、3割が親しい人から薦められてという統計がでている。たくさん健康食品が置いてある中から、自分で選んでという人はごくわずか」と述べ、医者や薬剤士の指導責任についてもふれた。

サプリメントに発酵技術を取り入れた素材がこれから大きく伸びる

また、横山氏は、現時点で有効性が認められるサプリメントを幾つか紹介し、さらに今後の市場が最も期待できる素材として次のように述べた。

「日本から世界に出て行くサプリメントでマーケットが大きくなり、最後まで残るのは発酵素材だと思う」。サプリメントに発酵技術を取り入れたものは即効性があり、体調がよくなる隠れた商品が多いという。

「TVで取り上げられたからと、安易な開発姿勢ではダメ」

最後に、医療用サプリの開発企業へのアドバイスとして、「原材料の特性をしっかり確認し、エビデンスのある商品を扱い、飲んで喜ばれ、 リピートしていただけるものをまじめに追求していけば時間はかかっても最後は勝者になる。TVで取り上げられたから 扱うなどということはやめたほうがいい。あっという間に儲けて、あっという間にポシャル。そういう商品作りはやめて、 王道を歩いて欲しい」と戒めた。

また、講演後に会場から、「西洋医学のEBMという物差しで計り難い場合、どうすればよいか」という質問が出た。 それに対して、横山氏は、「漢方の場合、一番ネックになるのは長期連用によって改善するというのがあまりにも多く、即効性に難がある」と答えた。
加えて、「21世紀型の漢方を追求しなければいけない。漢方も発酵させたものであればエビデンスが症状でとれると思う。 症状改善を沢山の項目でチェックするといい」と、発酵処理による優位性を指摘した。


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