日米で進む統合医療、西洋医療の補完で
注目される機能性素材


2005年10月12日(水)、サントリーホール(東京都港区)で、「癌に挑む日米の統合医療」と題した講演会(主催:NPO免疫療法懇談会)が開催された。当日、難波宏彰教授(神戸薬科大学大学院医療薬科学科)、バリーR.キャサレス氏(スローン・ケタリングがんセンター統合医療事業部部長)、乾明夫教授(鹿児島大学大学院歯科学総合研究科)が、癌治療における統合医療の可能性について講演した。

エビデンス(科学的根拠)のある健康食品を医師との相談のもとに使用する

難波教授は「統合医療に於けるマイタケの意義--免疫と抗癌性を例に」と題した講演で、マイタケのβ-グルカン、MD-フラクションの有用性を報告。免疫細胞の活性化や癌の成長・転移抑制への期待、さらに化学療法剤との併用効果について触れ、「補完医療、統合医療の一つに使えると考えている。マイタケがパーフェクトとは言えないが、化学療法剤と併用していくことによってより効果を高くすることができる」と述べた。
また、癌治療の際の健康食品の利用に関して、「どれだけエビデンスがあるか、科学的なバックグラウンドがあるかといった点をよく理解し、使用についてはお医者さんと相談する必要がある」と指摘した。

バリーR.キャサレス氏は、「米国スローン・ケタリングがんセンターに於ける統合医療」と題して講演。スローン・ケタリングがんセンターはがん専門病院として米国で高い評価を得ている。氏は、「科学的の発達とともに、先進国は伝統的な治療法から離れていったが、がんの手当てには、科学的な処方と伝統的処方の要素が必要」とし、統合医療の必要を説いた。



サプリメントにおける活性成分の分量や不純物の混入、化学薬剤との相互作用など懸念

講演では、「化学療法や放射線治療の効果を高め、免疫力を向上させる抗腫瘍性の植物の研究を行っている」ことを報告した。また、市場におけるハーブ・サプリメントについて、活性成分の分量、不純物の混ざり、化学薬剤との相互作用、などの懸念材料を指摘した。

乾教授は、「統合医療とこころ--癌性悪質液を例に」と題して講演。この中で、「肥満遺伝子のレプチンの発見を機に、悪液質のメカニズムが明らかとなった」とし、悪液質(進行ガンの患者で摂食ができず、体重が減少する状態)について報告。ガン患者の7割以上は悪液質で、5人に1人の患者が悪液質により死亡していると報告した。


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