2005年11月13日、秋葉原コンベンションホールで、「ドイツ・オーストリアにおける癌を中心とした統合医療〜 QOL向上を目指した治療戦略」をテーマに、第1回日本腫瘍学会 学術集会が開催された。当日、ヴォルフガング・ケストラー教授(オーストリア腫瘍学会会長)らが、海外の統合医療の現状について報告した。
腸内環境や精神的アプローチを重視
ケストラー教授は、「ヨーロッパの癌統合医療〜QOLを第一に」と題した基調講演で、統合医療によるガン治療の世界的な潮流を報告。
「なぜ、現在のガン治療がうまくいかないか」について、口腔内における重金属や歯周病とガンとの関連、計画的な補助療法の欠如など挙げた。
また、「ヨーロッパでは悪魔は腸の中に住んでいる」ということわざを例に、解毒や便通促進による腸内環境の整備の必要性を指摘。
加えて、ガン治療に精神的なアプローチが不可欠であることに触れ、「ガン患者と医師が1日45分間対話を行ったグループとそうでないグループとを比べたところ、前者のほうが2倍長生きしたという報告もある」と、精神腫瘍学の重要性についても言及した。
ガン克服のためには、全人的な治療が必要
さらに、ケストラー教授は、「ガンを克服するには三大療法だけでなく、全人的な治療が必要」とし、従来の薬剤、放射線、切除手術によるガン治療では根治が難しいことを指摘。統合医療的なアプローチが必要であることを強調した。