局在的な分析が進む西洋医学、
再統合化に「漢方」が期待


平成18年3月29日、第92回東洋医学フォーラム「漢方医学教育の実践と成果--求められる医療へ向けての新しい展開--」(主催:東洋医学フォーラム)が開催された。 2001年に、医学教育のガイドライン「医学教育モデル・コア・カリキュラム」が発表され、2004年度以降、全国の大学医学部・医科大学で漢方医学教育が実施されている。当日、東京医科歯科大学名誉教授の佐藤達夫氏が、漢方医学教育導入の経緯や現況を報告した。

全国の80の大学医学部・医科大学で
漢方医学教育が導入

2001年、文部科学省より医学教育のガイドライン「医学教育モデル・コア・カリキュラム」が発表され、全国の大学医学部・医科大学に「漢方医学教育」導入の必要性が指摘。医学部6年間で『和漢薬を概説できる』という項目を履修することが掲げられた。

佐藤氏は、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の発案者で、漢方医学教育の推進にも尽力。カリキュラム創設の経緯について、次のように述べた。「1990年頃から日本の医学教育を変えなければいけないと言われるようになってきた。科学が著しく進歩して膨大化・細分化し、新しい診療領域も開発されてきた。患者中心の医学が求められ、医学教育を変えていかなければいけないという機運が高まってきた」。

カリキュラムへの「漢方医学教育」導入については、「明治以降、医学は西洋医学のみになり、東洋医学は認知されなかった。これが復活したということで大きな意義があった」(同)という。



一方で、カリキュラムや「漢方医学教育」導入について、一部大学で、「必要ない」、「日本の医学は世界の冠たるもの。これまでの教育は間違っていない」、「包括的に組むことにより医学は退歩する」などの声も挙がったという。
しかしながら、「極度に分析的に進んだ西洋医学の再統合化に、漢方が期待される」とされ、漢方医学教育の導入に至ったという。

2002年度よりカリキュラムは実施され、2004年度には全国に80ある大学医学部・医科大学の全てにおいて漢方医学教育が実施された。 また、漢方医学教育には最低8コマの授業が必要だが、現在、8コマ以上の講義を実施する大学も80に限りなく近づいているという。

今後さらに、漢方医学教育を充実させるためには、1)学部に漢方医学の講座を創設する、2)学内に漢方医学研究会を発足させる、3)漢方医学に関する問題が医師国家試験に出願される、4)教育を担当できる教員の養成、などが挙げられているという。


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