2009年2月4日(水)、東京・虎ノ門パストラルで、「第16回健康食品フォーラム」(主催:財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会)が開催された。当日、健康食品の安全性をテーマに、各分野の第一人者による講演が行われた。
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「安全性を確保してこそ、消費者の信頼の獲得と健全な業界の発展につながる」
健康食品については、依然としてその安全性が大きな課題となっているが、昨年7月には、厚生労働省から健康食品の安全性確保に関する検討会報告書が出されている。そこでは、製造段階における安全性確保を図る具体的な方策や健康被害情報の収集・処理体制の強化、消費者に対する普及啓発等が報告され、安全性確保に向けた国の施策がようやく具体的にスタートしたといえる。
健康と食に関する非科学的な情報が氾濫し、
国民が混乱
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国立医薬品食品衛生研究所副所長・大野泰雄氏は、「『健康食品』の安全性確保の方向性」と題して講演。食品に対して、健康に関する効果(食品機能)を求めるニーズが増加していることと求める機能が多様化していること、健康と食に関する情報が氾濫し、不適正、非科学的な情報が増加して国民が混乱しているという現状をとり上げた。
こうした時代背景に関連して、健康食品に係わる制度の見直し(食安発0201001)に触れ、「保健機能食品制度」の見直しについては、条件付き特定保健用食品制度の創設など特定保健用食品制度の見直しと、栄養機能食品制度の見直しについて述べた。
健康食品については、安全性確保の推進、保健機能食品制度に関する普及啓発、虚偽誇大広告等の禁止を強調した。また、健康食品の今後の安全性確保のあり方を検討するために発足した「健康食品」の安全性確保に関する検討会の活動について、個別のフローチャートをもとに解説した。安全性確保の方策はもとより、健康被害情報の収集と処理体制の強化、消費者に対する普及啓発も重要であるとした。
「医薬品とサプリメントの相互作用」〜医薬品が特定の栄養素の吸収や排泄に影響
医薬情報研究所(株)エス・アイ・シー取締役/医薬情報部門責任者・堀美智子氏は、「医薬品とサプリメントの相互作用」と題して、いくつかの実例を挙げて解説した。
この中で堀氏は、口から一緒に飲んだ医薬品とサプリメント、食事として摂取した食べ物は、生体内で互いに影響しあうことがあり、サプリメントが医薬品の作用を高めたり、弱めたりする一方、医薬品が特定の栄養素の吸収や排泄に影響を及ぼすことがあると説いた。
具体的には、「カリウム保持性利尿薬を服用中の患者」、「酸化マグネシウムの長期服用での重篤な高マグネシウム血症」、「甘草摂取による偽アルドステロン症の発症」、「SSRI服用中の患者がニンニクのサプリメントを併用、SSRI中断様症状を経験」など、相互作用の具体例を挙げて解説した。