「健康食品・サプリメントを取り巻く国際動向」〜薬業健康食品研究会 平成21年度シンポ

2009年4月24日(金)、東京・お茶の水・ホテルジュラクで、医薬品・健康食品企業関係者など多数を迎え、薬業健康食品研究会主催の「平成21年度シンポジウム」が開催された。第1部では、基調講演「健康食品・サプリメントを取り巻く国際動向」が行われた。第2部では、「日本における健康食品・サプリメントの今後の行方」をテーマに活発なディスカッションが行なわれた。


食品の表示に関わる国際的な潮流の大きな転機

第一部では、「健康食品・サプリメントを取り巻く国際動向」と題して、日本国際生命科学協会(ILS Japan)事務局長・浜野弘昭氏が講演した。

まず、サプリメントの定義について、わが国では、特に定義されていないが、「錠剤、カプセル状等の形状の食品(薬食発第0201001号)」等と表現されることがあるとした上で、アメリカ、EU、コーデックスの例を引き合いに出した。

アメリカ:食事を補完する事を目的とし、カプセル、錠剤等通常の食事としての摂取を想定しない食品(DSHEA、1994)
EU:食事を補足する目的で、カプセル、錠剤等少量摂取できるもの(2002/46/EC)
コーデックス:カプセル、錠剤等少量単位で摂取するようデザインされ、通常の食品の形態ではなく、食事の補充に役立つもの(CAC/GL/55−2005)

「遵守すべき(取り締まるための)規制としての表示基準から、国民のための栄養/健康政策/戦略としての表示制度へ」

アメリカ ダイエタリー・サプリメント/ヘルスクレームの項目では、栄養表示教育法、栄養補助食品健康教育法、FDA近代化法、限定的健康強調表示制度、米国業界指針などのサプリメントへのかかわりを解説。

EUについては、食品(フードサプリメント)における、栄養強調表示/健康強調表示の規制について述べた。 アジアについては、制度や許可表示について、日本、台湾、韓国、中国を比較した。

コーデックスについては、栄養強調表示、健康強調表示のガイドラインを説明し、その科学的根拠いついて詳しく解説した。 以上のことから、まとめとして、現在が食品の表示に関わる国際的な潮流の大きな転機であるとし、コーデックスの動向と今後の展望が課題であるとした。

また、「遵守すべき(取り締まるための)規制としての表示基準から、国民のための栄養/健康政策/戦略としての表示制度へ」の言葉で講演を締めくくった。

パネル&フロアディスカッション「日本における健康食品・サプリメントの今後の行方」

第二部は、「日本における健康食品・サプリメントの今後の行方」のテーマで、パネリストに参加者を交えたディスカッションが行なわれた。パネリストには5名が出席した。

ディスカッションでは、まずトクホについて意見が交わされた。トクホ制度については、誰のために、何のために導入したのか、思想が無く、方向性ができていない、といった厳しい意見も出た。

トクホとは別に、新しい制度として、素材別の有効性表示を、第一の優先事項としてとりいれるべきではないかと言う意見もあった。 また、食薬区分の分け方が不透明であること、食品添加物等の制度については、許認可の審議に時間がかかりすぎるといった声も聞かれた。

GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)についても、活発な意見が交わされた。
GMPについては、今後どうなるのか明確でなく、様子を見ている企業が多いこともあり、国としてこれからどうして行くのか考えを明らかにすべきであるとの意見が多かった。GMPはまた、法律ではなく、第三者認証として続けていけるか不安であるといった声も聞かれた。

サプリメントの法制化については、諸外国は立法化してサプリを規制していることもあり、すでに大濱氏が試案を作成している「サプリメント法」を引き合いに出すなど、活発な討議が行なわれた。

客席を交えてのディスカッションという新しい試みは、会場が終始熱気を帯び、たいへん実のある充実したものとなった。


<パネリスト>
大濱宏文氏(日本健康食品規格協会 理事長)
木村忠明氏(株式会社ヘルスビジネスマガジン社 代表取締役会長)
末木一夫氏(NNFAジャパン 専務理事)
浜野弘昭氏(日本国際生命科学協会(ILS Japan)事務局長
牧野順一氏(CMPジャパン株式会社 代表取締役社長)
司会進行:吉岡一彦氏(薬業健康食品研究会 事務局長)


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