2009年6月15日(月)、東京・虎ノ門パストラルで、「第17回健康食品フォーラム」(主催:財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会、後援:厚生労働省、農林水産省、文部科学省)が開催された。「食と健康を考える」をテーマに、長村洋一氏(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部教授)、折茂肇氏(健康科学大学学長・東京都老人医療センター名誉院長)らによる講演が行なわれた。
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アドバイザリースタッフ、知識や対応能力に個人差
一定水準のレベルアップが必要
長村洋一氏(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部教授)は、「アドバイザリースタッフの今後役割」と題して講演。厚労省はこの件に注力しているが、現在抱える問題点や検討事項について解説した。
厚労省は、今年4月から3年間の予定でアドバイザリースタッフの教育水準を一定レベルに保つための研究費を用意している。
平成13年2月26日付けで同省から「薬事・食品衛生審議会報告書『保健機能食品の表示等について』におけるアドバイザリースタッフの確保の必要性に関する提言」が出された。これを踏まえ、同省医薬局から「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方について」(平成14年2月21日付け)が示された。
内容は、バランスのとれた食生活が重要であることを前提に、保健機能食品やその他のいわゆる健康食品に関して正しい情報提供を行う必要がある。過剰摂取等による健康被害を防ぐため、気軽に相談できるアドバイザリースタッフを民間で養成して欲しいというもの。
そうした経緯から、その後さまざまな機関が独自の講習会や通信教育を行い、アドバイザリースタッフを認定、レベルの高低を別にしても推定で3万人を超えるまでに至る。ただ、一方で消費者とトラブルが生じるケースもあり、平成16年に健康食品管理士認定協会が発足した。
協会は、「食」の情報の混乱を憂慮した、臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士の養成を行う大学教員らが連携、「食」の正しい情報を伝えられる人材の育成を目指した。すでに、協会の認定者は6600人を超えるが、その大半が、医師、臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士である。
長村氏は、アドバイザリースタッフの知識や対応能力には個人差があるため、レベルアップが必要であるとし、3段階のレベルを提示。また、認定資格者の社会的知名度の低さ、活躍の場が社会的に位置付けられていないなど問題点を挙げ、養成団体による連絡協議会制度やネットワークの構築などの必要性を示した。
「サプリメントは、安全性、品質、有効性を消費者に正しく知らせないと、購入動機が生じない」
日本医事法学会会員であり、医薬部門と関りが深い弁護士の光石忠敬氏は、「サプリメント法制度論の検討と疑問」と題して講演。憲法をはじめ、国際人権自由権規約、健康増進法、食品衛生法、食品安全基本法、薬事法などを引き合いに解説した。
この中で、健康食品という呼称については、医薬品とは関連しない概念であるため法制化はしにくいとし、サプリメントというネーミングにしてはどうかと、述べた。また、エグゼクティブ会議が先にまとめた「サプリメント法試案」については、一応の評価をした上で、栄養機能食品を含め、医薬品とは明確に区別して規制すべきとした。
サプリメントについては、安全性、品質、有効性を消費者に正しく知らせないと、購入動機が生じないとし、公的な承認が必要ではないかと述べた。
また、安全性について、加工食品「加工あまめしば」を摂取した消費者が呼吸器機能障害を発症した事故を取り上げ、製薬会社及び販売会社に製造物責任が認められた事例を示した。
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