ここ数年、食品表示の偽装や事故米の問題など、食品の安全性が疑われるような事件が頻発したが、そうした食品業界の不祥事により安全な食品を求める消費者ニーズが高まっている。
地元で取れた食物をそこに住む人々が消費する「地産地消」という食のスタイルは、食品の鮮度や地場産業の活性化という点で、地元の人々にとってもメリットが大きい。食の安全性が求められる今、地元という生産地証明の明らかな食品は、今後さらに消費者に求められる傾向にあるといえる。
茨城県坂東市に在住の荻野氏は女性農業士という経験を通して、現在の「食」流通が抱える問題を指摘した。
荻野氏は、荻野牧場を経営、およそ60頭の牛から牛乳を搾取をしている。加えて、農業士としても活動している。農業士とは、優れた農業経営を行ないつつ、農村青少年の育成に指導的役割を果たしている人物だけが知事から与えられる資格である。
荻野氏のような女性農業士は、農業経営と農家生活向上に意欲的に取り組み、地域の女性リーダーとして活躍することが求められる。現在、女性農業士は250名程度いるという。
また、女性農業士は国際感覚も求められる。一年程度の研修(語学を含む)を受けた後、ドイツなどでの海外研修にも参加しなければならないという。
地元の新鮮な野菜や素材を学校給食でも使ってもらえるように働きかける
荻野氏らは、日本の農業を元気にするために、様々な活動を行っているという。
例えば学校給食。便利さやコスト面から安易に冷凍食品を使用したり、輸入もので済まそうとする傾向があるが、荻野氏ら女性農業士は、地域で採れた新鮮な野菜や素材を学校給食で使ってもらえるよう働きかけるなど、地域の子どもたちに地元の野菜、農業の素晴らしさを理解してもらうよう地道な運動を定期的に続けているという。
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