2001年4月より、「保健機能食品」制度施行
いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める制度が2001年4月より施行されている。
この制度によりいわゆる健康食品が、国への許可等の必要性や食品の目的、機能性の違いによって「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2つのカテゴリーに分類されるようになった。
なかでも特定保健用食品は個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する国の審査を受けて認証を得なければならないため、認知度や安全性に対する信頼も消費者から高い商品となっている。
安全性の検証が必要な食品
また、行政も保健機能食品以外の健康食品の安全性を確保するためにさまざまな努力をしているが、もっとも重視しているのが「新開発食品」に関するものであるという。
一例を挙げると、東南アジアでは乾燥した状態で比較的日常的に摂取されているアマメシバという植物は、国内で死亡事故が発生した事例が報告されているため、現在販売が禁止されている。
しかし最終的にこのアマメシバに含まれるどんな物質が有害であったのか、摂取量の問題なのか、併用しているサプリメントや食品との相互作用であったのか原因は特定できていないままだという。他にも松の皮や泥など、海外では摂取されていても日本では禁止されているものがいくつかある。
栄養機能食品は現在のところビタミン類12種類とミネラル類5種類のみであるが、国に対し個別の許可申請や届け出を行う必要のない自己認証制度で流通されているため、その商品の品質や信頼性について管理しきれない部分がまだまだあるという。
第三者認証制度がスタート
その他、安全性を確保するために取り組んでいることが、(1)原材料の安全性の確保(2)製造工程管理(GMP)による安全性の確保(3)第三者認証制度の確保である。特に、製造段階における危害発生防止のために、原料の受入れから最終製品の出荷に至る全行程において、一定の品質管理のためのさまざまなチェック機能を設け、これらの適切な管理が行われているかの記録の作成や保存の指導を行政で行っている。
原材料の安全性の確保については文献検索で安全性、毒性情報を収集することがメインとなっているが、食経験に基づいた安全性を確保できない場合は毒性試験を行うように指導している。しかしこれら2つの対策が一定の水準に達したものになっているかを客観的な立場から確認されることが極めて重要との観点から、第三者認証制度がようやくスタートし、年内には規定のマークが貼られた食品が流通される見込みという。
健康食品による健康被害、医師会から厚生労働省に報告されるシステムが今年からスタート
健康食品を摂取して健康被害が起こってしまった場合、その食品の摂取を速やかに中止し、市町村や都道府県に届け出をすることが望ましいという。地方自治体からは厚生労働省に報告が行われるため、厚生労働省は情報提供などで被害拡散防止のための対応を速やかに行うことができる。また疑われる食品の情報収集や評価、食品名の公表の判断も行う。
また健康被害が酷い場合はもちろん医師に相談することになるのであるが、医師だからといって必ずしも健康食品についての知識があるわけではないので、厚生労働省と医師会が中心となって健康食品の健康被害の事例や可能性、消費者の現状などをとりまとめた医師用の冊子制作・配布し、被害が医師に相談された場合は医師会を通じて厚生労働省に報告されるシステムが今年からスタートしたところだという。
アドバイザリースタッフの養成や消費者教育など課題も残っているが、生産段階での安全性の確保と、医師との連携など、行政の取り組みも少しずつではあるが前進、進化していることを報告した。
健康食品の制度と現状--保健機能食品制度と食品表示について
消費者庁食品表示課 衛生調査官 芳賀 めぐみ
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3月、「食品表示に関する一元的な法体系のあり方ワーキングチーム」設置
食品表示について、消費者庁が担当する法律は食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つである。食品表示について消費者の選択の機会と確保をするため、食品表示に関する一元的な法体系のあり方について検討し、必要な措置を講じることが消費者庁の主な業務となる。
今年度の3月には「食品表示に関する一元的な法体系のあり方ワーキングチーム」が設置され、食品表示に関する諸外国の制度や国際ルールについての情報収集、有識者や関係団体からのヒアリング、執行現場における実施の把握などを行いながら、さまざまな業務、検討をすすめているという。
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