宇野氏の実父は薬の相互作用で命を落としたという。また宇野氏の義母もプロポリスとある漢方の併用で肝炎になったが一命を取り留めたという。
そこから、薬の相互作用について関心を強めた宇野氏は、医薬品と医薬品、医薬品と健康食品、医薬品と売薬、売薬と健康食品、米薬同士、あるいは健康食品同士といったさまざまな相互作用が存在し、そのデータベースが日本には存在しないだけで、世界各国では当たり前のこととして存在していることを知るようになったという。世界のスタンダードでは1600通りの相互作用がすでに判明、公表されており、そのうちの25%が死亡事故の可能性を持つ重篤なものであるという。
ヒト試験による膨大な学術論文や研究資料を日々収集精査
健康食品の世界基準のオンラインデータベースであるナチュラルメディシン・データベース(以下NMDB)は、本部をアメリカのストックトンに置き、100名を越えるリサーチャーと専門研究委員会から構成される民間組織によって構築されており、世界中で健康食品の科学的根拠を得るために繰り返されているヒト試験による膨大な学術論文や研究資料を日々収集精査し、その結果をもとに医薬品との相互作用などの情報も加えて毎日更新している。
アメリカをはじめ、イギリス、カナダ、オーストラリアほか数十カ国の国家行政機関が、英語、スペイン語のNMDBを公式採用し、英語圏の各国では350万人が使用しているという。
日本語版NMDB、日本国内の健康食品3万点を
掲載
日本語版NMDBの特徴は、日本医師会、薬剤師会、生活習慣病関連学会が推奨しているということ、そして日本医師会が公式採用していることや、独立行政法人国立健康・栄養研究所がホームページで提供する「健康食品の有効性・安全性情報データベース」の原本となっていることなどであろう。収載項目は1200種類以上あり、日本国内で入手できる健康食品、サプリメント、ハーブなどはおよそ5万点と見込まれているが、そのうちの3万点については掲載されているという。
また日本特有成分でも動物実験の結果はスクリーニングだけに使用され、基本ヒト試験エビデンスに基づく厳格なデータを精査、編纂しているという。有効性はエビデンスにより6段階で表示され、安全性、副作用、摂取禁忌も解説、摂取量や摂取時間、相互作用についてはそのメカニズムも記載しているという充実の内容だ。先日話題となったホメオパシーの問題でも、その有効性について科学的根拠がほとんどないということを、日本学術協会はじめ多くの関連団体はこのデータベースを根拠に発表したという。
全国医師会会員17万人がデータベースを閲覧
日本語版NMDBは現在のところ一般書籍、また医師や薬剤師などの関係者がID取得で閲覧することのできる無料DB、医師会専用DBなどがあり、iphoneやipad用のデータベースや業務用アプリケーションの開発も現在進行中であるという。医療従事者の間では正式採用されているため、全国医師会会員17万人がこのデータベースを閲覧することができるようになっており、薬剤師会でも公式採用される見込みがあるという。
一般消費者に対しては2冊の一般書を限定出版しているが、病院で取扱われているにも関わらず現時点で2万部を売上げているという。
NMDBを基盤にしたハイクオリティ認証制度
NMDBは総合認証のベースとしてハイクオリティ認証を提唱している。これは、健康食品の安全性や有効性を、NMDBを基盤にして認証する制度であり、第三者の試験機関による安全性、成分含有、品質保証などの試験を受けた製品がその裏付け資料を宇野氏が理事を務める一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センターの定める書式とともに提出することで、ハイクオリティ認証の審査を受けることができるというものである。
認証、情報精査の作業はトクホ認定メンバーで構成されているが、NMDB特有の安全性確認チェックを受けた後、一般的な安全確認を行ない、総合認証システムであるハイクオリティ認証を取得することができるようになっている。
健康食品だけでなく、医薬品の危険性も同じレベルで情報開示しなければフェアでない
ナチュラルメディシン・ハイクオリティ認証システムのなかでハイクオリティ認証は一番最初の段階であり、このあとには有効性ハイクオリティ認証、特定有効性ハイクオリティ認証、医用ハイクオリティ認証とレベルアップしていくことが可能であるという。
この認証マークはQRコードと一体型であり、顧客サービスとして安全性ばかりでなく相互作用などの注意事項にリンクすることができるシステムになっている。
このマークを採用した商品を大手ドラックストアであるマツモトキヨシが8品目に導入したところ、それらの商品の売上げが25%程度アップしたという結果が報告され、消費者の健康食品情報ニーズの高まりを示していると宇野氏は分析する。
NMDBを使用して認証を取得することで、トクホに続く安心・安全の証明ができると宇野氏は述べる一方で、参加者からはマークが増えることやその手続きの煩雑さなどに疑問の声もあがった。健康食品の安全性を保障すること、あるいは危険性があるのであればその情報を開示することは重要ではあるが、健康食品だけでなく、医薬品の危険性も同じレベルで情報を開示しなければフェアではないという声もあがった。