近年、一人暮らしの高齢者の脚気が増加傾向に
脚気は、手足のしびれや全身の倦怠感、つま先があがらない、つまずきやすくなるといった運動麻痺、動悸、息切れ、低血圧、むくみ、食欲不振、などの症状が現われ、進行すると歩行困難、最終的には心不全で死に至ることもある恐ろしい病気である。
徳川13代、14代将軍も脚気で命を落としている。しかし、このように猛威を振るった脚気も、現在は知らない人もいるくらい、栄養状態が改善されている。
にもかかわらず近年また、高齢者の一人暮らしなどの世帯で脚気が秘かに増加傾向にあり、年間を通して死亡する人も数名いる。
特にビタミンB1はインスタント食品にはほとんど含まれず、日常生活や運動などでも消費され、最も不足しやすいビタミンの1つ。年齢に関係なくビタミンB1不足が食欲不振、いらいら、倦怠感を招いている可能性は高い。
ビタミン不足は老化を早める
よく知られているビタミン欠乏症は以下である。まずはビタミンAが欠乏することによって起こる目のトラブル(夜盲症、核膜軟化症など)。ビタミンBが欠乏することによって起こる骨の異常(くる病など)。
ビタミンKが欠乏することによって起こる骨、歯のトラブルや血液異常(血が凝固しなくなる)。ビタミンB2,B16欠乏による粘膜のトラブル(口唇炎、口角炎、舌炎等)。ビタミンB12,葉酸欠乏による血球肥大、貧血などの血液のトラブル。ビタミンC欠乏による壊血病など。こうした症状で、病気に至らないまでもビタミン不足は老化を早める。
ビタミンを上手に摂るためには、それぞれのビタミンの一日の必要摂取量をまず理解すること、そして自分自身の摂取量をおおまかに把握すること(食事日記などを活用)、そこから不足しやすいビタミンを分析し、意識的に食事から補うことである。
例えば、コンビニの食事にはビタミンA,K,Eが圧倒的に不足している。また忙しく働いている時間帯にはエネルギー生産に関わるビタミンB1,B2,ナイアシン,パントテン酸が多く必要とされる。
ストレス対策に、ビタミンC,Eなど抗酸化ビタミン
また、ストレスを受けている場合は抗酸化に関わるビタミンC,Eの必要量が高まる。働き世代は厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準」に示された「推奨量あるいは目安量」より若干多め、あるいは積極的にビタミンを摂っても過剰になることはないと考えられている。
また、高齢者は肉食を控える傾向があることから、ビタミンB群の不足に陥りやすい。高齢者は骨の病気予防としてビタミンD,Kも積極的に摂取したい。食用油を機能性で選び活用することも重要で、サプリメントを賢く利用する方法もある。
いずれにせよビタミンを意識しすぎると食事がカロリーオーバーになりがち。自分に不足しがちなビタミンを知り、積極的に補い健康を維持したい。