がん患者の増加、高齢者人口の増加も関係
巷に溢れる食べ物とがんの情報はすべてが正しいわけではない。当たり前であるがまずそのことをしっかり認識して欲しいと津金氏。
日本でがん患者数が増加傾向にあるが、平均寿命の伸びとも関係がある。乳がんや大腸がんなどある程度遺伝性があるものや若年性のものを除き、がん患者が増加しているのは国民全体が長生きになっていることの証明でもある。
津金氏は「食べ物とがん」の因果関係について、一般的にがんと関係があるとされる食品や習慣を個別に解説。まずはアルコール。飲酒習慣がある人はがんになりやすいのか。
これについては、毎日2合以上飲む、あるいは週に14合以上飲む人は、飲まない人に比べ1,3倍〜1,5倍がんになりやすい。また、お酒を毎日1合以上飲む、あるいは週に7合以上飲む人では、飲まない人に比べ1,1〜1,3倍がんになりやすいことがわかっている。
しかし、アルコールがガン細胞を大きくするかどうかは分かっておらず、アルコールが発がんに繋がるメカニズムは、あくまで可能性としてであり、アルコールに含まれるアセトアルデヒト、免疫抑制作用と葉酸代謝への影響、栄養不足などが原因ではないかと考えられている。
一方で、適度な飲酒は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる、代謝を上げるなど健康面にプラスになる面もあり、アルコール=がんと考えるのは間違い。飲めない人は無理に飲む必要もないが、適度な飲酒を楽しむことはむしろ健康に役立つ。
運動でインシュリン抵抗性や肥満が改善
次に運動。運動ががんを予防するのか?予防する可能性として、インシュリン抵抗性の改善、肥満解消、免疫機能の増強などが挙げられる。
しかし肥満でも痩せ過ぎでもがんリスクは同様で、肥満であれば内分泌系の影響から大腸、乳房、子宮体がんの可能性が高まり、痩せ過ぎだと免疫機能の低下や抗酸化物質の不足によるがんの発生リスクが高まる。
体型におけるがん予防法は、成人期での体重を適切な範囲で維持することであり、それぞれのライフスタイルにおいて必要があれば運動、あるいは肉体労働などをしている場合は適度な休息をすることが重要である。
塩の摂り過ぎは胃がんに
食事方法はどうであろうか。食事については、これを摂っていればがんを予防できるという唯一の食品、栄養素はいまのところわかっていない。
摂り過ぎるとがんのリスクを高める可能性のある食品中の成分、あるいは調理、保存の過程で生成される化学物質があるにすぎない。従ってリスク分散のために「偏らない食事」が重要である。
例えば世界的にみて胃がん患者は日本と韓国で圧倒的に多く、特に日本は米国の10倍もの胃がん患者がいる。
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