アンチエイジングで、ドライアイが改善
坪田氏は自らもアンチエイジングを実践、10年以上経つ。氏が行っているのが、「カロリス」「適度な運動」「抗酸化成分の積極的摂取」、日常生活で「笑いやニコニコ」を心がける、など。健康診断の数値は年々若返りを示し、効果を実感しているという。
坪田氏がアンチエイジングに強い関心を抱いたのは、特定の疾患というより、トータルで体の不調を改善させる効果があるためという。
例えば、ドライアイは加齢とともに涙の分泌量が減少することで起こりやすくなる老化現象の一つである。
坪田氏は眼科医で、自身もドライアイに悩んでいたが、アンチエイジングの実践で、涙の分泌量が増加し、目薬が不要になった。ただ、アンチエイジングがドライアイに効果があることを証明することは難しいため、現在もラット実験を行っているという。
血圧を下げる食品、ドライアイや他の老化現象にも有効性を発揮
健康食品の中でも多いのが血圧低下に関わるもの。これらに含まれる成分、例えば胡麻由来の降圧ペプチドなどをドライアイのマウスに与え、コントロールマウス(特定成分を与えないドライアイ状態の比較対象のためのマウス)と比較したところ、ドライアイが改善されたことが証明されたという。
もちろん、これをすぐにヒトに置き換えられるわけでなく、摂取量や副作用、相互作用など考慮しなければならないが、加齢と共に上がりやすい血圧を下げる食品機能が、ドライアイやその他の老化現象にも有効性を発揮しているとすれば、食をもっと科学的に分析し、新しい治療方法として取り上げるべきではないかと指摘。
健康食品が抱える様々な問題はあるにせよ、やはり食品である以上、作用ポイントが広く、効き目が弱く(副作用が気にならない)、安全で長期間摂取できるというメリットがあるため、新しい切り口として取り上げていくべきだとまとめた。
食と消化管機能〜内視鏡で異常がないのに症状が?
慶応義塾大学内科学(消化器)専任講師 鈴木 秀和
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日本人のおよそ1/4が機能性ディスペプシア
辛いと感じる食後のもたれ感、早期の飽満感、みぞおちの痛みや灼熱感といった、胃の痛みに関するトラブルを感じる人は実に多く、増加傾向にあるという。
こうした症状が数ヶ月から半年以上改善されない場合、胃カメラで検査することになるが、半数以上の患者に、特に胃や十二指腸に潰瘍や腫瘍などの器質的異常は認められないという。
そして、ほっとして症状が発症しなくなるケースもあれば、痛みが消えず病院を転々としたり、医師に不満を抱いたり、あるいはストレスと片付けられて腑に落ちない患者さんも少なくない。こうした経験をしている日本人はおよそ1/4にのぼる。近年、こうした症状は機能性ディスペプシアと呼ばれ、治療方法を開発する試みが始まっていると鈴木氏。
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