西洋医学に比べると科学的な検証が十分とはいえないが、食経験が長い物は信用できると鈴木氏はいう。
サプリメントの正しい情報を得て、付き合い方を考える必要
現状では医師がサプリメントについて十分な知識を有しているとはいえない。患者はサプリメントの正しい情報を得て、付き合い方を考える必要がある。そこでポイントになるのが、未病期、治療期、手術前、手術後、とステージによってサプリメントを使い分けたり選んだりすることである。
特に、がん患者にとって最も大切なことは、がん治療と並行して、体調をなるべく良い状態で保ちQOLの質を高めること。医療現場においては、患者の体調や気持ち、副作用などにも気を配ることが、より治療効果を高めることにつながるという。
相互作用、医薬品とサプリメントだけでなく医薬品間でも問題
医薬品との相互作用では、グレープフルーツジュースとの併用がよく知られるが、医薬品とサプリメントだけでなく、医薬品間でも考えられる問題であり、特にがん患者の場合は複数の薬を摂取しているため、薬同士のほうにも気を配る必要がある。食べ物で病気は治せない、と言い張る医師もいるが、薬は食べ物や植物からできている物が多く、そう断言することはできないと鈴木氏。
例えばシイタケやその元になるシイタケ菌糸体エキスは、レンチンとして胃がんに効果のある薬品として用いられている。シイタケ菌糸体エキスは、抗がん剤との併用でNK細胞活性の低下抑制や、免疫抑制細胞の数を減らすことがわかっている。がん細胞を直接アタックすることはないが、免疫回復と体調改善の効果は十分期待できるという。
薬とサプリメントを併用した治療を行なう病院や外来が増えている
近年、補完代替医療を専門に研究する研究室が、金沢大学や大阪大学などの国立大学にも設置され、さらなる科学的な検証が進んでいる。
実際に患者と相談しながら、薬とサプリメントを併用した治療を行なう病院や外来が、金沢大学、大阪大学のほか、徳島大学、東京女子医大附属青山自然医療研究クリニックなど少しずつ増えているという。
医師や医療従事者への教育も少しずつ始まり、将来的には患者と医師とのサプリメントのコミュニケーションが進むことが期待されるとまとめた。