次いで、多いのがウイルスで、多くはノロウイルスだが、よく知られる二枚貝より従業員や人(家庭内)からの感染が多いという。
食品企業としては、勘や経験ではなく、化学的・技術的な管理によるHACCP方式を導入し、緻密に安全管理することが重要である。
HACCP、原料から最終製品までの全工程を管理の対象に
HACCPとは国際的な食品衛生管理の方式で、絶対に食中毒を起してはならない宇宙食の衛生管理方法としてNASAで考案されたのが始まり。
1993年以降、ヨーロッパをはじめ世界中へ広がり国際的な信頼を得ているシステムだが、従来の管理との大きな違いは、これまでは最終製品の抜取検査のみを行なっていたが、HACCPでは全ての製造過程、原料から最終製品までの工程を管理対象とし、重要管理点を連続して観察する点にある。
例えば、加熱工程では食中毒菌が死滅しているか、冷却工程では加熱でも死滅しない芽胞菌(胞子)の増加がないか、など観る。金属探知工程では金属異物が混入している可能性がある製品は排除していく、など重点管理を集中的に連続して行う。もちろん、整理整頓、清掃洗浄、害中対策など一般的な衛生管理も平行して行う。
家庭でもHACCPの重点管理の考え方を取り入れてほしい
食品が私たちの口に届くまでには、原料になる作物の栽培、家畜の飼育、食品の製造、販売といくつもの事業者が関わっている。より多くの企業がHACCPを取り入れた衛生管理を行なうことで、安全、安心のリレーをしなければならないと植田氏はいう。
そして安心、安全の最終ランナーはなによりも家庭であると植田氏。細菌やウイルスの発生、付着、増殖はHACCPでの重点管理だけでは防ぎきれない。
例えば、せっかくきちんと冷蔵管理された食品をスーパーで購入したにも関わらず、買い物の途中で寄り道をしたせいで、食品が腐敗することもある。冷蔵庫の詰め込み、肉と魚を分類して保存していない、肉汁、魚汁のもれなども食中毒の原因となる。
安全な食品を購入した後の家庭での管理、調理、食べ方が最終的には食品の安全に大きく関係していることを認識し、家庭でもHACCPの重点管理の考え方(調理・食事の前に手を洗ったか、温め直すときは十分に加熱しているか、タオルや布巾は清潔か、野菜はよく洗ったか、食材を切るごとに包丁は洗っているか、調理器具の消毒は十分されているか、など)を取り入れてほしいとまとめた。