さらに、一般の健康的なヒト(40?60歳男性)を対象に行なった試験でも、空腹時の血糖値とサイトカインレベルの関連が解明されているという。
食事は5パターンに分けられる
健康なヒトを対象に行なった研究からわかったことは、一つ一つの栄養素がどのように健康と関連しているか、ということよりも食品群で考えた方が分かりやすいということだったと合田氏。
「和食+野菜パターン」「アルコール(簡略)パターン」「魚介類パターン」「間食・乳類パターン」「洋食+野菜パターン」という5つに分けると、我々の食事パターンはこのいずれかに当てはまることがほとんどという。
単体の栄養素より、食事パターンのほうが健康を大きく左右
この分類で、「和食+野菜パターン」と「洋食+野菜パターン」のグループに属するヒトは、脂肪細胞から分泌されるタンパク質アディポネクチンの濃度が上昇し(肥満になるほどアディポネクチンの分泌量が低下する)、インスリン抵抗性も下がることが判明している。
つまり、食事パターンはメタボリック症候群リスク因子およびサイトカインと関連していることが判る。また単体の栄養素が健康を大きく左右するというより、食事パターンのほうが関連するこのではないかと合田氏。また「間食・乳類パターン」のグループもインスリン抵抗性が上がりやすいという。
慢性疾患リスクごとにバイオマーカーを明確にする必要がある
これらの実験で、代謝性疾患のリスク評価指標としての利用が期待されるバイオマーカーには、インスリン感受性関連アディポサイトカインにはアディポネクチン、レプチンなどが期待され、食後血糖関連炎症サイトカインにはIL-Iβ、インスリン抵抗性関連アディポサイトカインにはIL-6などが期待されるという。
同様に代謝星疾患の慢性炎症のリスク評価指標として利用が期待される実用的なバイオマーカーとして、酸化障害関連の指標にはγGTP、インスリン抵抗性関連指標にはALTがあげられるとした。
今後の課題として、慢性代謝疾患の一次予防の有効性の評価の根拠として、最低限必要とされる生体指標であるバイオマーカーを慢性疾患リスクごとに明確にする必要があると合田氏は指摘。
また食事の質的評価のために、食事のパターン化などによる食事要因の数量化と、バイオマーカーを統合した統合健康指導の開発を図りたいとまとめた。
生活習慣病の第一次的予防のバイオマーカーに基づき、栄養指導、食事指導、生活指導を行われるようになれば、医療費負担の軽減やQOLの向上なども期待できる。薬剤+食事といった混合治療の道も開けるであろう。