統合医療の考え方を普及させることが重要
米国における統合医療と代替医療の違いについてキャサレス博士は次のように述べた。
米国でかつては代替医療が統合医療という言葉より広く使われていた。
代替医療はある種の治療に代わる療法のことだが、米国では、商業的で有害なものも多い。統合医療はある種の治療を行いながら補完的に別の療法を加え、治療中に生じる痛みや不快感などを軽減するもの。
病気を患った場合、医師による治療は絶対に必要。代替医療を盲信することで、初期の病状を見逃し悪化させることが多い。
保険の問題もあり、診察までに時間がかかり、手遅れのケースも多いが、がんは早期であれば多くは完治させることが可能。代替医療よりも統合医療の考え方を普及させることが重要、とキャサレス氏。
米国で注目されている7種類の補完療法
統合医療は、西洋医療に補完療法を統合させたもので、精神的・身体的・感情的な諸症状をコントロールし、QOL(生活の質)を改善し、病気の回復を早めることに貢献する、とキャサレス氏は定義する。
米国でとくに注目されている補完療法は、マッサージ療法、心身療法、音楽療法、鍼、フィットネス、食事療法(栄養療法)、薬草類及びサプリメント類の7種類。これらにより、痛み/吐き気/疲れ/うつと不安/不眠/便秘/神経障害/のぼせ/身体虚弱などの緩和が期待されている。
マッサージは患者だけでなく医師の人気や要望が高く、効果も48時間程度持続することが科学的に検証されるなど、今後も研究やニーズが高まることが予測される。
心身療法は瞑想や呼吸法、気功などだが、呼吸の重要性を説き、セルフメディケーションに役立てるように指導する。これにより、通常より麻酔の量が減る、手術後の回復が早まるなどの効果が期待でき、結果的に医療費のコスト削減に繋がることが期待されている、とキャサレス氏。
QOLを高めるため、病院内で演奏による音楽療法
音楽療法は、言葉でコミュニケーションが取れなくなってしまった重篤な症状や、言語障害を持つ患者さんに非常に効果的で、QOLを高めるために病院内で演奏サービスなど行う所も増えている。
鍼はとくに近年、非常に注目されている。鍼灸師の資格だけでなく、がんなどの病気への高度な知識を持つ者のみ病院で治療を行える。鍼の効果が高いことは明らかになっているが、因果関係が不明な部分も多い。米国では多くの団体が科学的効果の研究をしているが、がんだけでなく、ドライマウスなどの症状にも効果があることがわかってきている。
野菜とフルーツ、1日5皿分以上摂る運動を展開
運動は、リハビリや予防医学的なものとして、1日20分でも継続すると効果が大きく、フィットネス大国の米国では不可欠なもの。
食事・栄養療法は、国家プロジェクトとして、野菜やフルーツを1日5皿分以上の野菜(350g)とフルーツ(200g)を食べましょう、という「5a day」運動などが広がっている。病院内でも症状により、ビタミン療法などの栄養療法が行われているが、病気を治療するものではない、とキャサレス博士。
サプリメントは、米国では200億ドルを超す大きな市場だが、トラブルや健康被害も多く報告されている。
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