メタボリックシンドロームの諸症状の改善に有用
クワの有効性研究については岩手大でヒト試験が進められている。なかでもメタボリックシンドローム症状に、とくに有効な数値を示すデータがでている。74歳のやや肥満傾向の男性に1日3回クワ茶を毎日半年飲み続けてもらったところ、体重が10キロ減少し、血糖値、中性脂肪値、コレステロール値、γ−GTP値の全てが改善し正常値になった。
大学職員20名をランダムに抽出しヒト試験(男女とも平均年齢26歳、期間は2ヶ月、1,88gのクワの抽出物を1日3回摂取)では、体重の減少が認められたが80%、認められなかったが20%で、前者はウエスト値の変化やBMI値の変化も認められた。
免疫賦活作用、ヒト試験を今年6月から実施
クワには強力なアンチエイジング成分があると考えられるが、デオキシノジリマイシンに血糖値上昇の抑制効果、オキシデスペラトールに抗酸化作用があることしか解明されていない。
ラット実験で、クワの抽出物を注射、経口で注入したところ、B細胞とマクロファージが増加し、免疫賦活作用が解明されている。霊芝やマイタケ(Bフラクション)より高い数値を示したが、その成分と効果の作用機序については解明されていない部分も多く、ヒト試験が今年6月から行なわれる段階である。
今後は、クワの機能性だけでなく、クワ食文化の復活と普及を日本全国に発信したいと鈴木氏。昨年、岩手でクワ茶祭りが開催されたが、こうしたイベントを今後も全国展開していきたい。
クワ文化の復活、養蚕イノベーションについては東北地域全体で取り組みが進められている。震災復興に役立てることができないかという研究も進められている。
また、セシウム137の除去効果が注目されているが、クワには耐塩性があるため、被害が甚大であった沿岸部、原発問題エリアでも必ず有効利用できるはず。