健康食品市場、2010年に2兆円規模
周知のことだが、「健康食品」には明確なカテゴリーがない。「健康食品」はあくまでも食品であることを消費者も提供者もしっかり認識しなければ表示問題は中々進展しないと相本氏。
いわゆる「健康食品」は、2010年で2兆円市場(内5,500億円が特定保健用食品)に達している。今後も堅調な拡大が予測される。
薬品市場が1兆円であることからも、健康食品のニーズが非常に高くなっていることがわかる。特定保健用食品も、範疇としては食品であるが、特定の保健効果の表示が許可された食品であり、現在955件が認可されている。
表示には、消費者庁長官の許可、安全性や効果は食品安全委員会と消費者委員会の許可、薬事法抵触の有無については厚労省の調査が必要であるなど複雑なプロセスを踏まなければならない。大企業でも骨の折れる作業で、中小企業にとっては非常にハードルが高いものになっていると相本氏はいう。
トクホ商品、検討事項が拡大
保健効果の表示は、現在トクホ商品のみだが、保健効果が明らかに期待できる健康食品も数多く存在し、表示方法についてはここ数年議論が繰り返されている。これまでトクホ商品ではない健康食品が健康効果について誇大・虚偽表示しているケースが多く見受けられることが最大の課題であった。
最近はトクホ商品でも、一度許可を受けた商品が再審査を受ける必要があるかどうか、許可商品であっても許可を一時停止する仕組みの必要性など、検討事項が拡大していると相本氏はいう。
検討事項は大きく3つ。まず「トクホ商品の表示許可手続きの透明可」。公表すべき情報の範囲や審査基準の明確化、情報公開請求、再許可品目、実質的な失効品目の取り扱いの運用状況など、実態を把握する必要性がある。また許可品目の機能性成分の新たな科学的知見の収集方法など消費者委員会の議論も踏まえ検討が必要とされている。
2つ目が「トクホを含む健康食品そのものの表示・広告のあり方」。健康増進法と景品表示法が連携していないことの非効率性を解消、拡大するインターネット販売への監視業務の強化などが求められている。3つ目が「新たな機能性表示の可能性の研究」。次々と判明する食品の機能性について正確に評価するための事業を推進するべきではないか、という点。
外部機関の活用で、科学的知見に基づいた機能性の評価
3つ目については中立的な外部機関の活用が有効ではないかという方向で議論が進んでおり、業務委託で行なう予定という。
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